漫画家の「黒丸」氏の同名マンガが原作の、奈緒と松田龍平がW主演を務めるドラマ「東京サラダボウル‐国際捜査事件簿‐」(NHK)が面白いと評判になっている。
黒丸氏といえば、詐欺師が詐欺師を騙し返す「クロサギ」が有名だろう。今作は多種多様な文化、人種が集まる「サラダボウル」のような大都市を舞台に、レタスのような緑色に染めた髪がトレードマークの東新宿署国際捜査係の警察官・鴻田麻里(奈緒)と、何やらワケありな雰囲気の警視庁通訳センターの中国語通訳人・有木野了(松田龍平)のコンビが、外国人居住者の方たちの葛藤に直面し、わずかでも光=希望を見せてくれるストーリーだ。この希望に心の柔らかな部分を強烈に刺激されるから、毎話、見事に涙を流している。外国人役を外国の役者がちゃんと演じていることも、泣いてしまうことにつながっているかもしれない。
特に第4話に登場した、偽造パスポートで大陸に帰国しようとする中国人の王建斌(ワン・ジェンビン)を演じた張翰(チャン・ハン)という台湾の役者にはボロ泣きさせられた。この役者をネット上で調べると、かっこいいイケメン俳優の画像が検索結果に出てくるのだが、私がドラマで見たこの役者は、息子を10年間も捜し続けている工場で働く疲れたオヤジにしか見えず、検索結果に出てくるイケメン俳優と同一人物であることを認められるまで、時間がかかった。それくらい王を演じる張翰の演技は素晴らしかった。
また、王に対する鴻田とアリキーノこと有木野の心配りにも泣かされた。奈緒が良作を引き寄せるのか、良作が奈緒を引っ張るのかよくわからないが、昨年1月期放送の奈緒と木梨憲武がW主演した「春になったら」(フジテレビ系)と同じくらい、「東京サラダボウル」は良作だと思う。放送中の「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS系)と同じ脚本家の金沢知樹氏が、ここでもきっちりと心に届くドラマを描いていることも忘れちゃいけないだろう。
(森山いま)