元タレント・中居正広氏が起こした女性トラブルを発端に、フジテレビが開局以来のピンチだ。親会社となるフジ・メディア・ホールディングスによると、グループ全体の決算について、前年度に比べ最終利益が74%減の98億円になる見通しだと発表。大幅な減収にはフジテレビの業績悪化が関連し、CMの落ち込みなどでフジテレビ単体としては赤字に転落する見通しだという。この業績悪化は、夏頃までは続くだろうと、他局の関係者が明かす。
「CMの種類にもよりますが、出稿に関しては数カ月間前から準備する必要がある。現在、フジテレビは第三者委員会の調査を受けていますが、調査報告書は今年 3月末完成の予定。ただ、報告書でも残る疑問について、掘り下げられ、最終的な調べ得る限りの真相が明らかになるのは4~5月でしょう。結果、仮にそこまで問題がなかったことがわかったところで、CMが元通りに入るのは夏以降。もし第三者委員会報告書で問題が発覚すれば、さらにCM復活は遠のきます。夏のラインナップにも、広告が今同様ほとんど入らず赤字状態が続く可能性もあるんです」
給料大幅ダウンにフジテレビ社内は今以上の混乱を招きそうで殺伐としたムードなのだそうだが、しかし、本当に困り果てているというのは地方のフジ系列局の社員のようだ。現在、フジをキー局として、ネットワークには全国28社が加盟。ほとんどがキー局であるフジテレビが制作した番組を中心に放送。そのため今回のCM差し替えは、倒産の危機もあるレベルの大ピンチになっているという。系列局の関係者が、厳しい現状をこう明かす。
「規模が大きい関西テレビや東海テレビ、さらに仙台放送などの基幹局以外は、独自番組はほぼ制作していません。東北や九州にある小さな系列局は、オリジナルの番組は夕方のニュースか、週に1、2本の情報番組しか作っておらず、フジの番組頼み。なので、今回のフジのCM差し替えはもろに影響を受けていて、大幅な減収になりそうです。特に、東北エリアの局はもともと経営が危ないと言われていた社もありますから、テレビ局の倒産という前代未聞の事態も想定されるんですよ」
そんな系列局では、リストラ、社員の大量離脱の可能性も高いとか。前出の系列局関係者が言う。
「そもそも、フジの社員と系列局の社員は給料が全然違う。系列局の社員はすでにギリギリの給料で生活しており、そのうえで激務。これ以上給料が下がればバイトより稼ぎが少なくなると、退社を考えているスタッフもいます。系列局は、ほとんどがフジ・メディア・ホールディングスと関係なく、赤字を補填してくれる確証もない。このままでは、フジより先に系列局の社員がバタバタと辞めていき地方から崩壊が起きそうです」
フジテレビの経営陣はキー局として、系列局の社員の苦境にどんな思いでいるのだろうか。
(渡邊伸明)