4月18日放送の「スイッチインタビュー 浅野忠信×山田五郎EP1」(NHK Eテレ)に出演していた2人を見て、これまでよりもっと大好きになってしまった。というのも、実は絵を描くことが大好きな浅野。4月2日から6日までは東京・新宿伊勢丹で約200点の絵を紹介していたし、2018年12月7日から翌2019年3月31日までは東京・ワタリウム美術館で約700点ものドローイング作品を紹介していたこともあるのだ。
そんな浅野は山田が主に西洋美術を語るYouTubeチャンネル「山田五郎 オトナの教養講座」の大ファンで、この日の番組収録を同YouTubeチャンネルの収録で使っている山田のアトリエで行うことになり、番組冒頭でアトリエに入った途端から浅野のテンションは爆上がり。「1個1個YouTubeで見たものがあって、やっぱ時計が…」などと大興奮。「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)に登場するような複雑な仕掛け時計の、パチンコ玉を落とすとまた戻ってくることで時を刻むものの、“正確な時刻は示してくれないこと”などを山田から説明されると、「ええーっ!」「わはははっ!」「へぇ…」と表情をクルクルと変化させ、子どものように目を輝かせていた。
山田が2013年にリリースした著書「銀座のすし」で鉛筆画のイラストを描いていると教えてもらった浅野は、その本を手渡されると「ごめんなさい、老眼鏡かけていいですか?じっくり見たいです。すいません」と言ってからその本を熟視。「ええーっ!いいですねぇ!めっちゃいいですね!」と声を裏返らせながら驚嘆する様子がとてもストレートで、思わず番組を見ていたこちらまで「浅野忠信って本当に素直な人なんだ」と強く心を揺さぶられてしまった。
好きな画家を山田から聞かれた浅野は、イギリスの画家であるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーを挙げた。中学か高校時代に1842年の作品「吹雪」を初めて見た時「パッと見は何を描いてるかわかんなかったんですけど、よく見ると船が描いてあったり海だったりとかってわかった時に『これが見てみたかった!』って感じがして」と、その時のことを回顧。ターナーだけでなくピカソもマティスも、「どうやって(この絵に)行き着いているんだろう?」「なんでこういうこと(絵)になったんだろう?」と思いながら自分は絵を描いているという浅野に、山田が「ものすごい論理的に絵を描いているんですね」と斬り込むと、浅野は「そうなんですかね」と言いつつも、論理的になって分析してしまうから、自分の描く絵は「つまんなくなっちゃうのかもしれないですね」と苦笑するシーンもあった。
浅野の「忠信」という名前は、父親が横尾忠則の大ファンで「忠」の1文字をもらって名付けられたそうだ。美術を媒介にして大人の男性が敬意を持ちながら興味のあることを語り合う姿はとても新鮮で愛らしく、2人が作り上げる独特な“空気の海”に溺れてしまいそうになった。
4月25日に放送される「EP2」が待ち遠しい。
(森山いま)