5月16日放送回で第4話となる、日韓クリエイター共同制作による麻生久美子主演ドラマ「魔物」(テレビ朝日系)。世話になっている名田奥太郎(佐野史郎)を殺害した容疑者となった自身の担当弁護士となった華陣あやめ(麻生)との恋に落ちる、源凍也を演じている塩野瑛久に首をかしげる声が出ているようだ。凍也(塩野)には高校時代に出会っている妻・夏音(北香那)がいるため、あやめと凍也の恋は、弁護される者と弁護する者であり、既婚男性と独身女性であることから、「二重の意味での許されざる関係」ということになる。
4月25日放送の第2話「愛欲のキムチチゲ」で一線を越えてしまった凍也とあやめは、不倫関係とは思えないほどラブラブな時間をあやめの部屋で過ごしていた。しかし5月2日放送の第3話「偽りのサムギョプサル」では、あやめの部屋で待っていた凍也が豹変。凍也が待っていることで浮かれながら帰宅したあやめは、凍也から突然の暴力をふるわれるのだ。殴られながらあやめは、自分と同じ法律事務所に所属する今野昴(大倉孝二)弁護士が、夜道で何者かに襲われ、襲った犯人は「雪だるまの付いたキーホルダー」を持っていたと説明されていたことを思い出す。なぜなら凍也が「雪だるまの付いたキーホルダー」を持っていたからだ。
暴力をふるう前までの凍也は、とても甘く優しい男性として描かれていたため、いきなり鼻息を荒げてあやめに殴りかかる凍也を見て「マジで悲鳴をあげてしまった」「ドラマとわかってはいたものの、あまりの迫真の演技に『ヒャッ!』みたいな声が出た」などの声がネット上にはあがっている。それほど塩野演じる凍也に多くの視聴者は「恐怖」を覚えたのだ。
それだけ塩野の演技がリアルだったという称賛でもあるのだが、同時に「塩野はもっといい役を演じることができるはずなのに、なぜ?」と疑問を唱える声もあがっている。なぜなら塩野は昨年放送されたNHK大河ドラマ「光る君へ」で美しい一条天皇を好演。これまでの「下積みが開花した」と言われていたからだ。
その中で最も話題にあがりがちなのは、2020年から内田理央主演で放送された深夜ドラマ「来世ではちゃんとします」(テレビ東京系)シリーズで演じた「Aくん」役だ。一流商社に勤めるイケメンで学生時代から交際している恋人がいるものの、自身の性的嗜好が独特なため、桃江(内田)と割り切った関係を続けるという、かなりぶっ飛んだキャラだったのだ。そのため、「光る君へ」で一条天皇が好評だったことで、「これで深夜ドラマのクセ強キャラから抜け出せるね」「これからはプライムタイムのドラマで恋の当て馬役から主役コースかな」「夜10時までのドラマで主人公の友人役とか演じたのちに主人公へと昇格して」といった声がネット上にはあがり、今後は深夜ドラマでクセの強いキャラは演じないだろうと予測されていただけに、現状を「逆戻り」と表現する声があがっている。
中には、放送中の芳根京子主演ドラマ「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ系)で本田響矢が演じている海軍中尉・江端瀧昌の白い軍服姿を見て、「塩野瑛久の白い軍服姿を見たかった」とする声もあるようだが、それだけ期待されている塩野の次回作が気になる。
(津島修子)