小林麻央の壮絶闘病で知りたい「乳がん治療最前線」(3)乳房再建という道

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 小林のように、薬物療法による処置となる場合、その闘病生活は過酷の一言であるという。

「ホルモン療法の場合、副作用として、更年期のような症状が出ます。体温が上がり、汗が大量に出る。常にイライラしてしまい、お見舞いに来た家族に対して当り散らしてしまったりするなど、患者として過ごすうえで非常に厳しい精神状態に陥る場合があります。もちろんすべての人に出るわけではないですが、10人のうち5人程度はこのような状態になりますね」(向井氏)

 またホルモン療法の副作用として他にも、骨粗しょう症や、関節の痛みが出てくる。患者本人は当然ながら、家族にとっても辛い時期が続くというわけだ。

 さらに抗がん剤を使った治療も並行して行われる。がんが他の部位に転移することを防ぎ、生存率を高めるための処置だ。

 向井氏によれば、抗がん剤治療自体は他のがんでも行われるものながらも、女性にとって耐えがたい症状が出るという。

「やはり脱毛ですね。乳がんは特に女性がなりやすい病気なので、女性にとって乳房の摘出と並んで苦痛なのが、髪が抜けてしまうところです。多くの人がウィッグや帽子を被ることで、多少なりともストレスケアを行っています」

 抗がん剤の副作用といえば昔から、吐き気や倦怠感が出ることが知られている。近年の抗がん剤はこの部分がかなり改善されているものの、残念ながら脱毛に関しては依然、防げていないのが現状だ。

 このような薬物療法に切り替わる前に、乳房の摘出手術を行うのが最善である。しかし、術後の自身を想像すると簡単に踏み切れないというのが多くの患者の本音だ。

「今は摘出手術と同時に、乳房再建のための処置を行うこともできます。がんを取り除き、『ティッシュ・エキスパンダー』という特殊なシリコンを入れて皮膚を拡張しておき、その後にインプラント治療で乳房を再建するという仕組みです」(向井氏)

 実際に乳房再建出を受けた金村さん(仮名、39歳)がその喜びを語ってくれた。

「右側の乳房を摘出する前に、『絶対に胸の膨らみを元に戻したい』とお医者さんに詰め寄ったんです。ティッシュエキスパンダーを入れて、その後の再建手術が終わって、2日後に初めて自分の新しい胸を見た時は、本当に涙が出ましたね。自分の皮膚を伸ばすことで、新しく胸を作るということで、見た目にはほとんど違和感がありません」

 金村さんの場合は、乳房摘出手術から1年半後の再建となった。このように、仕組みとしては胸の復活ができるものの、対応してくれる医院や、期間の問題はまだまだ山積みだ。

 それでも向井氏は、明るい未来が見えていると言う。

「以前は完全に自己負担で行うしかありませんでしたが、今はインプラント再建が保険適用となりました。摘出しても再建が可能であると、多くの人が知ることがまず第一ですね」

 乳がんの治療やケアは日々進化している。

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