5月23日、岡田准一主演の時代劇映画「散り椿」(18年公開予定)の製作が発表された。葉室麟の同名小説を原作に、一度は藩追放となった侍・瓜生新兵衛が亡き妻の願いをかなえるために舞い戻り、親友とともに藩内の謀略に立ち向かっていくというストーリーで、剣豪である新兵衛の立ち回りも見どころの娯楽作だ。
この作品を監督するのは、日本映画界を代表する名カメラマンにして、09年の「劔岳 点の記」から映画監督にも乗り出した木村大作氏。黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」(58年)に撮影助手として参加して以降、黒澤組の現場を体験してきた1人である。
「木村監督は黒澤映画譲りの、何台ものカメラを一度に回す『多重カメラ』という撮影方法を得意としています。岡田とは今年公開された『追憶』で主演とカメラマンとして初のコンビを組んでいて、この時、木村監督は一度に3台のカメラを回す犯人逮捕のシーンで、岡田にカメラマンを担当させました。最近、ある週刊誌に岡田がカメラを回したシーンが他にもあるような記事が載りましたが、これは間違い。記事によれば、それは刑事役の岡田が児童を虐待死させた犯人役の遠藤要と出ている場面ということでしたが、多重カメラの場合、演者のアップや引きのショットなど必要なカットを複数のカメラで一気に全て撮影するため、そこに出演している俳優が撮影することは物理的に不可能です。遠藤の登場シーンには必ず岡田も出ていますから撮影できるはずがない。今の日本映画界では木村監督ほど編集した時のことを考慮して多重カメラによる撮影を完遂できるカメラマンはいませんし、岡田が撮影したと勘違いする記事が出るほど、その撮影設計が見事だったということでしょう」(映画ライター)
そんな木村監督が、驚異的な身体能力を持つ岡田とどんな時代劇の映像を生み出すのか。完成を楽しみに待ちたい。