米ハーバード大学のクリスタキス教授の研究結果によれば、「肥満は感染する」という。たとえば普段、日常的に付き合っている友人が太ると、その友人との関係が親密になればなるほど、自分も太る確率が高くなるというのだ。
特に同性の知人の影響がもっとも多く、夫婦や兄弟ではそれほど影響はないらしい。
ほかの研究でも、この肥満感染は「モノマネ細胞」と呼ばれるミラーニューロンが成す事象だといわれている。
ミラーニューロンとは脳の神経細胞のことで、他人が目の前で起こした行動が、その共感度が高いほどモノマネするよう指令を出す働きのことで、霊長類などの高等動物特有の細胞だという。
学生時代、仲の良い友人が制服のスカートを短くしたり、髪を少し明るく染めたり、トレンドの靴下を履いたりしているのを見て、思わず真似してしまった経験は誰にでもあるはずだが、それが食べ物に対して起こってしまえば、当然太ることになる。
食後にケーキを食べる習慣のある友人がいれば、太るとわかっていながらも、「この子がやってるなら自分もやらなきゃ」と食べてしまうのである。
この習性は良い習慣はもちろん、肥満などの悪い習慣も感染する。それならば、良い習慣を持つ人同士のつながりのある輪に入るほうが賢明といえないか。
友人を選ぶ際には、その人だけでなく、その人をとりまくほかのメンバーの顔触れもチェックするべきなのかもしれない。