フィギュアスケートの羽生結弦選手を撮影するカメラマンとして知られる能登直氏が7月30日、大阪・梅田の横浜NHK文化センターで講演を行い、羽生選手にまつわるエピソードを語ってファンを喜ばせた。
「羽生選手の秘蔵写真を見せながらの解説で、羽生と身近に接してきた能登氏の話だけにファンは興味津々。特に印象的だったのが、14年のGP中国杯の6分間練習で中国の選手と接触し、流血した時のエピソードです。なぜ事故の写真を撮っていなかったのかと聞かれた能登氏は、事件直後は何が起こったのかわからず、肉眼で様子を見ていたと答えました。また、写真は撮れなかったし、もし撮っていても世に出す写真ではないと思ったと答え、羽生選手を思う能登氏の気持ちに、ファンは感動しきりだったようです」(スポーツライター)
フィギュアスケートの撮影では、新聞社や報道のカメラマンが優先的に良い場所を取り、フリーのカメラマンたちは少しでもいい写真を撮るために、リンクサイドの撮影席で、必死で場所取りをするという。しかし、苦労をして獲得した好位置であっても、何でも撮ればいいというものではない。そんな能登氏の姿勢こそが、選手との信頼関係を築き、見る者の心をうつ写真を生み出すのだろう。
(芝公子)