主演の石坂浩二をはじめ、浅丘ルリ子、加賀まりこ、野際陽子、藤竜也、八千草薫など、豪華スター出演と脚本家・倉本聰の作品ということで、シニア層から圧倒的な支持を集めた「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)。平均視聴率5.8%は、昼の時間帯としては及第点の数字だった。
しかし、視聴者には「ラスト1週間は見るに堪えない様相でした。最初が良かっただけに残念です」「話も面白かったのに、後半はやすらぎの住民が突然色ボケしだして、比較的理性的だった菊村までおかしくなってた」「倉本さんの愚痴を聞いている感じで終わった」などと不満が募ったようだ。
“見るに堪えないラスト”とは、脚本家の菊村(石坂)が、かつての不貞相手・直美そっくりの孫・アザミと温泉旅行に。夕食時に酒を酌み交わし酩酊した菊村は、今のテレビ界への愚痴をぶちまけながら、目の前のアザミが直美の姿とオーバーラップしてしまい泥酔して醜態をさらしてしまうというもの。
また“倉本氏の愚痴”とは、自身を投影したと思われる菊村のセリフで「視聴率なんてものは、考えちゃダメなんだよ」「今のテレビ界っていうのは、すぐに使えるもの、ウケるものを重視する傾向があるからね」などを指しているようだ。
菊村はこれまでも「テレビを今のようなくだらないものにしたのは、テレビ局そのもの」「Jプロにいいようにいじられ」など、真っ向から業界批判をしているセリフがあった。
テレビ誌ライターも「倉本氏がこのドラマを通して行きついたのが、年寄りの愚痴と色情だったのは悲しかった」という。
しかしそれこそが、激動の昭和を生き抜いてきたテレビマンの悲しい本音なのかもしれない。