残念ながらメダルには届かなかった平昌五輪フィギュアスケート団体戦。ペアの須崎美羽・木原龍一両選手もアイスダンスの村元哉中・クリス・リード両選手も着実にレベルを上げており、今後に期待を持てる滑りを披露した。一抹の不安は、フリーの代表として出場した男子シングルの田中刑事選手だ。
「4回転ジャンプをことごとく失敗してしまいましたからね。田中選手にとっては初めての五輪、しかも慣れない団体戦だけにプレッシャーを感じていても不思議ではありません。インタビューで『朝の競技だからでは』『現地入りが直前だった影響は』などと聞かれていましたが、『緊張はしていなかった』『直前練習でジャンプの感覚がつかめなかった』などと、田中選手はあくまで自分のせいだと答えていました。初めての五輪、しかも団体戦で自分の結果に順位がかかってくる。そんな場面で緊張しないわけがない。男子シングルに向けて、いちばんの不安材料は緊張していないと自分をだましてしまうこと。そうすると逆にその緊張から逃れられなくなるんです」(スポーツライター)
羽生結弦選手を指導するブライアン・オーサーコーチも著書で、緊張したり不安や恐怖を感じたりする時は自分を見つめ、「自分はいつもの自分と違う」と自分を客観的にとらえることで、どう対処すればいいかわかると述べている。
いよいよ男子のシングル競技がスタートする。田中選手には自分の緊張感を認めたうえで、思い切り演技してほしいものだ。
(芝公子)