「私たち心療内科医に相談に来る方は圧倒的に女性が多く、カウンセリングをしてみると多くの方が“心=脳の栄養失調”であることがわかります。そうした場合、抗うつ薬や抗不安薬の投薬だけでは改善しないことが多く、問診をしてみると、『野菜中心の食生活をしています』『痩せるためにカロリーに気をつけています』『子育てと仕事の両立で食べる時間がつくれないです』などの回答がみられます」
そう語るのは、ひめのともみクリニック院長の姫野友美さん。ダイエットや多忙な毎日の中で食事がおろそかになり、心と体に不調を訴える女性が増えているそうなのです。
■「食事日記」で心と体が変わる
姫野さんは、心に不調を抱える女性たちに「食事日記」をつけてもらうのだそう。彼女たちの食事日記をみると、朝は抜いて、昼はコンビニのおにぎりとサラダ、夜はパスタなどというメニューが並びます。多くの女性が糖質過多、たんぱく質とビタミン、ミネラル不足に陥ってしまっているそうです。
とくに食事制限によるダイエットは、心の不調を招きやすいといいます。食事をコントロールすることで体重は落ち、そこで心は一旦ハイになります。しかし、単なるカロリー制限では、神経伝達物質の合成に必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルが圧倒的に不足し、ダイエット前よりも落ち込んでしまうのだそうです。「ダイエットをする場合は、心身のリバウンドを避けるためにも栄養の専門家とともに行うことが大切」と、姫野さんは語ります。
■運動のやり過ぎはNG
運動は、心と体のためにはいいことです。しかし、やり過ぎてしまうと活性酸素が大量に発生してしまいます。しかも、トレーニングをして栄養を摂らないと、脂肪だけでなく筋肉も骨も痩せてしまい、結果、疲労から心身不調につながってしまうのだそうです。
なので、トレーニングをするときは、たんぱく質をしっかり摂ることが大事なんだとか。たんぱく質は肉・魚・卵・大豆製品の4種類。それらをバランスよく、1回の食事に2種類取り入れるようにするといいそう。例えば「すき焼き定食」なら肉と卵を、「焼魚定食+冷奴」なら魚と大豆を無理なく摂れます。このように、たんぱく質を毎食摂ることで、女性の体調や心も大きく変わるそうですよ。
食事を見直すことは、生き方を変えること。ときには処方箋も必要です。ダイエットの苦しさに耐えきれずリバウンドを繰り返してしまったり、長引く疲労や心の不調で悩んだりした場合は、ぜひ専門医を訪ねてください。そして、心と体を健康に保つのに十分な栄養を、ぜひ補給するようにしてくださいね。
(美容・健康ライター Nao Kiyota)