俳優の斎藤工が、映画誌「映画秘宝」に寄せた記事で、ある邦画のポスターに言及し、ネット上で話題を呼んでいる。
注目されたのは1月21日に発売された「映画秘宝」3月号の、2018年の映画のベスト・トホホ(ワースト)をランキング形式で発表するという趣旨の特集記事。各界著名人が投稿する中、映画好きで知られ、当該誌に連載を持つ斎藤は「トホホは立場上毎回避けているが、去年は下半期に我慢ならない邦画のポスターがあった」と書き出し「邦画によくある登場人物がブロッコリーみたいに皆載っているデザイン性を無視したモノ」と続け、さらに「キャッチコピーとして“○回泣けます”と一言。これは駄目でしょう。受取手の感情を(しかも回数まで)断定するなんて無礼だなと感じた」とした。さらに「この作品のタイトルじゃないけれどコーヒーの前に気持ちが冷めた」とオチまで用意、コラムニストとしての才気を見せつけた格好だ。
「文章を読めば一目瞭然ですが、昨年9月に公開された有村架純主演映画『コーヒーが冷めないうちに』でしょうね。件のポスターというのが、有村を中心に、石田ゆり子、吉田羊、薬師丸ひろ子、波瑠ら出演者の“肖像”のような切り抜きが大小メリハリつけた形で配置。確かにブロッコリーとは言い得て妙です。さらに、ポスターの下には『4回泣けます』と明記もされています」(映画誌ライター)
ネット上でも「確かにブロッコリーみたい(笑)」「斎藤さんのディスりのセンスが秀逸」「泣ける回数を他人に決められたくないよな」「よくぞ言ってくれた!」と、絶賛する声が多数寄せられた。
「とある喫茶店のある席に座ると、過去に戻ってやり直せるというオムニバス作品で、全4話で構成されているので『4回泣けます』ということなのでしょう。“ブロッコリー”と表現したデザインについてですが、ポスターがストーリーやテーマを“象徴”するのではなく、“出演俳優ありき”の作品になると、こういうパターンになりがちです。ビジュアルアートワークという位置づけではなく、あくまで特売チラシのようなものですからね。ただ、こうした訴求力の狙い方すらマンネリ化した映画界に対して一石を投じたのが、役者である斎藤工だったというところに、大きな意味はあると思います」(前出・映画誌ライター)
それにしても、何かを批判するとネットが炎上するケースが多い昨今、洒落が効いた文章で重くなりすぎないスタイルのまま、重要な提言をした斎藤工はお見事。ことあるごとに炎上している芸能人は、参考にした方がよいかもしれない。
(石見剣)