東映代表取締役社長の多田憲之氏と白石和彌監督が3月20日、東京都内で開催された映画「麻雀放浪記2020」の公開に関する会見に出席し、同作を予定通り4月5日に公開することを発表した。
同作は、12日に逮捕された俳優のピエール瀧容疑者が出演していたことから、その公開の是非をめぐって様々な議論が交わされていたが、多田氏は「多くの時間を割いて協議してまいりました。(公開の)中止、延期、編集した上での公開、ノーカットでの公開。色々な選択肢がある中で、弊社の判断で4月5日にノーカットで予定通り公開することに致しました」と説明。また、「劇場での公開に関しては各所にご理解頂けましたが、現在も議論が続いています」とも話し、賛否両論を生む決断となったことを示唆している。
同席した白石監督も予定通りの公開を決定した理由について「一人の出演者の為に、待ちわびているお客様の為に公開しない選択肢を取らない」「(劇場公開の映画は)有料で鑑賞の意志を持った人が来るクローズドなもので、テレビドラマやコマーシャルとは違う」などと主張し、同作品のポスターやテロップでもピエール瀧容疑者が出演していることを明示すると説明した。
「ピエール瀧容疑者が関連した楽曲やイベント、作品、そしてゲームソフトに至るまで、多くが販売自粛や再編集をせざるを得ない状況となっていますが、完全にノーカットで予定通りの公開を決めた『麻雀放浪記2020』は勇気ある判断を下したと共に、“賢い選択”をしたとも言えます。そもそも今回のピエール瀧容疑者の逮捕が無ければ、この作品の存在自体を知らなかった層も一定数居たでしょうし、この会見の様子をあらゆる報道機関が報じるたびに『麻雀放浪記2020』の作品名が拡散され、宣伝効果はケタ違いのはず。しかもネットでは“作品に罪なし”とする東映の決断を『それで良いと思います!』『色々と批判はあると思うが私は頑張って上映してもらいたいと思う』と支持する声が多く、他の“ピエール関連作品”もこれに追従するかもしれませんね」(テレビ誌ライター)
もちろん、決して“クローズドな作品”とは言えないテレビCMやバラエティー番組がこの決断を真似ることは困難ではあるものの、今回の東映の決断は不祥事タレントの関連作品に対する処遇の方法を変えるキッカケとなり得るだろう。
(木村慎吾)