元横綱・貴乃花の花田光司氏が、まさかの絵本作家転身だ。ゲスト出演した3月20日放送の「ザ・発言X」(日本テレビ系)では、新たに挑戦したいこととして「絵本作家です」と明言。また21日放送の情報番組「スッキリ」(同)では、花田氏自身による絵本の朗読映像を紹介した。なお同映像はYouTubeの日テレ公式チャンネルでも公開されている。
花田氏が内容を手掛け、鉄拳が絵を担当した絵本の「光のテーブル とっても大切なカエルもおはなし」は、4人家族で暮らしていた子カエルのカルルが主人公。得意のジャンプ力を試すために家を飛び出し、大会で優勝してちやほやされるも、家族で食べていた料理を想い出して帰ってくるという物語だ。その作品について絵本事情に詳しい女性誌ライターが眉をひそめる。
「絵についてはさすが鉄拳というべき仕上がりとなっていますが、肝心のストーリーについては何も語るべきものがないほどに凡庸すぎます。花田氏自身は瀬戸内寂聴さんから絵本作りを勧められたと語っていましたが、そもそも素人でも簡単に絵本作りに取り組めると思われていることに、絵本業界は憤慨しているのです。芸能界には出産したママタレントが“子供ができれば良い絵本が作れる”とばかりに、安易な考えで絵本を出版する風潮もありますが、そういったママタレントの絵本で子供たちの心をとらえたものはほとんどないのが現実。そして今度は貴乃花かと、もはや呆れかえっていますね」
ちなみに絵本は出版不況のなか数少ない成長分野として注目されており、毎年2000点以上を出版。雑誌のMOEが主催する「絵本屋さん大賞」や、(公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構の主催する「ようちえん絵本大賞」は毎年、大きな注目を浴びている。
「これらの大賞にタレント絵本が選ばれていないことからも分かるように、絵本というのは本来、プロの手によって生み出されるもの。それなのに貴乃花が作った絵本というだけでテレビ番組が時間を割いて取り上げるのは、『絵本なんて簡単に作れる』というイメージを生みかねず、絵本業界としては本当に迷惑な話なのです。しかも花田氏による朗読はあまりにも抑揚がなく、あんな調子で読み聞かせされても子供たちとしては退屈なだけ。仮にも相撲の世界で横綱という頂点に立った人物ならば、他の分野に土足で踏み込むような真似はやめてもらいたいですね」(前出・女性誌ライター)
幼稚園や小学校で絵本読み聞かせの機会を持つ世のパパママたちは、世にあまたある人気絵本にも目を通しておくのがいいのかもしれない。
(白根麻子)