かつての名曲を耳にすれば、甘酸っぱい青春の記憶が脳内をかけめぐることは誰しもが経験することだろう。
恋愛や卒業、別れといった様々な喜怒哀楽の感情を歌詞とリズムの組み合わせによって巧みに蘇らせる「平成の歌姫」を振り返る際、“令和”にも引き継ぐべき偉大な歌い手は一体誰だろうか。
まずは「小室ファミリー」の第一人者ともいうべき女性シンガーだ。
凄まじいキーの高さと抜群の歌唱力で音楽プロデューサーの小室哲哉氏をメロメロにした1995年デビューのKEIKOは、紛れもなく「平成」を代表する声色の持ち主である。globeのボーカルとして彗星の如く現れた彼女は「DEPARTURES」や「Can’t Stop Fallin’ in Love」「FACE」などの大ヒット曲で美声を披露し、カラオケではKEIKOを目標に掲げながら熱心なトレーニングを続ける女性も続出。実際にKEIKOの奇跡的な歌声を模倣できた人間が何人存在したのかは分からないが、病気療養によって活動を休止する2011年まで、KEIKOは雲の上の存在として偉大な歌姫であり続けた。
しかし、そんなKEIKOも“カラオケで最も歌われた歌手”の座は浜崎あゆみに譲らなければならなかった。
1998年の「poker face」でソロデビューした“あゆ”こと浜崎あゆみは、今でこそ“インスタグラマー”のイメージが強いが、全盛期にはヒット曲を連発しただけでなく、ファッションやメイク・言動など、あらゆる要素で若い女性を虜にしたカリスマ。そして、「カラオケで最も歌われた回数の多い歌手」という栄誉を手にするに至ったのだ。
(木村慎吾)