会社法違反の疑いで、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が4月4日に再逮捕された。それに伴い、検察庁ではゴーン氏の妻・キャロル夫人に対して出頭を要請。キャロル夫人は要請に応じず8日に日本を出国し、任意聴取を拒んだと見るメディアもあるようだ。
そのゴーン氏を巡る事件は経済事件としては大きく注目されているものの、一般人には縁遠い話として興味を抱かない人も少なくない。ところが、ある名作マンガのファンがこの一件に大注目しているというのだ。マンガに詳しいエンタメ誌ライターが指摘する。
「各報道ではゴーン氏やキャロル夫人がフランスメディアの取材に応じた音声を放送。フランス語ゆえに日産やルノーといった固有名詞以外はちんぷんかんぷんですが、その中に突然『シトワイヤン』という単語が飛び出し、『ベルサイユのばら』ファンを喜ばせているのです。このシトワイヤン(citoyen)とは“市民”の意味。フランス革命の主体となった市民のことであり、ベルばらでは主人公のオスカルがバスティーユ襲撃に向かうシーンで『シトワイヤン、行こう!』と呼びかける場面がよく知られています。そのためベルばらファンからは『生シトワイヤン、初めて聞いた!』『キャロル夫人がオスカルに見えてきた』といった感想が続出しているのです」
その原作マンガのみならず、宝塚歌劇団でも「ベルサイユのばら」は初演から45年の長きにわたって親しまれている人気の演目。オスカルは各組が誇るトップスターにとって花形の役であり、これまで幾度となく舞台上で「シトワイヤン!」のセリフが発せられてきた。そのためヅカファンからも、フランス語での生シトワイヤンを耳にした喜びが聞かれるようだ。
「しかも事件報道のなかでゴーン氏がキャロル夫人と、まさにベルサイユ宮殿で結婚式を挙げたことも報じられていたので、ベルばらファンにとっては見どころだらけの事件となっているのです。ただその結婚式には総額80億円を掛けた金満ぶりも伝わっていますので、キャロル夫人はオスカルというよりは、むしろ浪費家だったと伝えられるフランス王妃のマリー・アントワネットに近い存在かもしれません」(前出・エンタメ誌ライター)
そのマリー・アントワネットはギロチン台で処刑され、その様子を見物していたシトワイヤンたちは「共和国万歳!」と叫び続けたという。果たして現代のアントワネットにはどんな運命が待っているのだろうか。
(白根麻子)