お笑い芸人の明石家さんまが4月16日に放送された特番で共演したタレントの坂上忍に対して「下手くそ司会」と一蹴し大きな話題となったが、そもそも“適切な司会者”とはどのような人物を指すのだろうか。
ここでは「平成」におけるテレビ番組を仕切った個性溢れる優秀な司会者・MCを紹介しながら、どのようなメソッドでお茶の間を盛り上げてきたのかを分析していく。
まずは、“司会たる者、周囲を生かしてナンボ”とのスタイルを心がけ、常に番組ゲストや出演者の個性・才能を引き出すことに執念する“One for all”のタイプだ。筆頭として名が浮かぶのは草野仁や関口宏辺りで、柔らかな物腰と個人的見解を控えることによりゲストに一定の居心地の良さをもたらし、演者にとっては本領を発揮しやすい空間となるだろう。
お笑いタレントの今田耕司はこの“One for all”の精神にテンポの良さとユーモアを加え、あらゆる年代と各ジャンルの大物タレントが一堂に会し、島田紳助氏からのバトンを受けた「オールスター感謝祭」(TBS系)でも難なくリズミカルにその場を仕切る。毒のないツッコミや腰の低さで“安心感”を纏い、ズラリと並ぶ個性派やベテラン俳優を相手にする感謝祭MCという超大役を任されるに値する実力を備えている。
「かつて後輩芸人の品川祐は“司会者・今田耕司”について『今田さんの番組では何も考えずに安心してボケられるし、滑っても必ず助けてくれる』とべた褒めしています。ダウンタウンと共に東京進出し、その後はビートたけしの冠番組『たけしの誰でもピカソ』(テレビ東京系)でも実質的MCに据わるといった“経験値”を積んだからこそ、安定した“回し”の技術を獲得したのでしょう」(テレビ誌ライター)
同業者からも今田の気遣いに満ちた進行は好評を博しているようだ。
(木村慎吾)