7月9日に解離性脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血でこの世を去ったジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏。ショービジネスを日本に根付かせた功労者のサクセスストーリーが、秘蔵映像とあわせて連日報じられた。だがはっきりと語られなかったこともある。ジャニーズと双璧をなす大手芸能プロダクション・ワタナベエンターテインメントとの関係だ。事情通の芸能ジャーナリストが振り返る。
「1962年に創業した当初、ジャニーズ事務所はナベプロの前身である渡辺プロダクションと業務提携して、窓口にしていたのです。ジャニーさんは渡辺所属のタレントをマネジメントしたこともあり、その第1号がなんと、森進一です。森を育成後、4人組の男性アイドルグループ『ジャニーズ』をデビューさせて、独立したのです」
マネージャー・ジャニー喜多川氏とタレント・森進一の関係は独立後、社長と親友となって続いた。時を経て、森が演歌歌手の森昌子と結婚。長男・森内貴寛が、中学生でジャニーズに入所。15歳でNEWSに選ばれデビューした。
ところが、わずか3カ月後、不祥事が発覚して脱退。事務所も辞めた。05年、ロックバンド・ONE OK ROCKのボーカリスト・Takaとしてデビューし、現在は世界を股にかけた活躍をしている。
息子は不義理をしても、ジャニー氏と森の友情は育まれた。
「15年12月19日、帝国劇場で上演された舞台『ジャニーズ・ワールド』昼公演に、森がサプライズ出演したのです。作・演出を担っていたジャニーさんが前夜、突然演出を変更したのです。当日は、森が客席からステージに登壇。NEWSの楽曲『ありがとう・今』を熱唱しました」(前出・芸能ジャーナリスト)
NEWSは03年、フジテレビ系列バレーボールワールドカップのイメージキャラクターとしてデビュー。1stシングル「NEWSニッポン」はEAST盤とWEST盤があり、EAST盤のカップリングソングが「ありがとう・今」だ。NEWSでは増田貴久、手越祐也、森内が歌唱していたが、なぜ森が歌ったのか。じつは作詞した「泉らら」の正体が、森なのだ。
愛する息子のデビューシングルに、ひっそりと父が加担。しかし皮肉なことに、NEWSで森内の声が収まっているCDは、この1枚だけとなった。
9月4日、東京ドームで開かれたジャニーさんの「お別れ会」に、森内ことTakaは参列している。ジャニーズ在籍期間は2年ほどだが、感謝の気持ちは変わらないことを、しっかり行動で示して見せたのだ。
(北村ともこ)