低予算ながら大きな話題性を創出できる邦画からも目を離してはならない。
2020年を迎えるや否や「賭博黙示録カイジ」シリーズ最終章の「カイジ ファイナルゲーム」(佐藤東弥監督)が1月10日より公開され、前作から9年ぶりにスクリーンへと帰還した藤原竜也の勇姿を拝むことができる。2009年公開の「カイジ 人生逆転ゲーム」が22億円、2011年公開の「カイジ2 人生奪回ゲーム」でも16億円と、立て続けに高い興行収入を記録しており、また「デスノート」における夜神月役や「Diner ダイナー」でのボンベロ役など、今や人気コミックの実写化には不可欠な存在となった藤原竜也の熱演にも注目したいところである。
2020年は他にも佐藤健が「るろうに剣心 最終章」(大友敬史監督)で5年ぶりの同シリーズに登場し、主人公・剣心のルーツにスポットが当てられる。同作は全2部作という構成で描かれ、剣心の十字傷の謎や、宿敵である縁との決着などファンにとってはたまらない原点と終点を同時に楽しめるものとなっている。
「根強いファンを抱える『るろうに剣心』は実写シリーズでも突出した人気を叩き出しており、これまでの全3作品『るろうに剣心』『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』を合わせた累計では実に125億円以上の興収を記録しています。映画の本場であるハリウッドでは『スパイダーマン』や『アイアンマン』『バットマン』などの大ヒットで、長く人気コミックの実写化がウケ続けていますが、日本でもその流れは色濃く出ており、やはり固定ファンを多く抱える人気コンテンツは映画館に移っても並外れた集客力を見せてくれています。その象徴が『デスノート』や『るろうに剣心』『ちはやふる』といった作品であり、今後もこの“ヒットの方程式”はあらゆるコミックに応用され続けるでしょう」(映画誌ライター)
コミック原作映画は往々にして“駄作”に位置づけられがちだが、成功に導いた藤原、佐藤の力量を存分に堪能したい。
(木村慎吾)