子どもたちの学びの現場で保護者からよくいただくご相談の一つに、「うちの子、いつもグズグズで本当に困ってしまいます……」というものがあります。
「何をやっても遅い」「何度もやり方を教えているのに自己流で取り組み、結局間に合わない」「どうしてこんなにやる気がないの?」など、こんなふうに感じてイライラしてしまったら、捉え方を変えてみましょう。子どもの性格を急に変えることはできませんが、見方を変えることは可能。実は、そうした子どもには、こんな気持ちが隠れていることが多いものです。
■「とてもていねいにやりたい」と思っている
準備がなかなか進まない子が、どんなことに時間をかけているのかをじっくり観察してみましょう。「靴下は必ず左右を確認してからはくようにしている」「服をたたむときは必ず角をぴったり重ねている」など、「それは時間がかかるよね」と思ってしまいたくなるようなていねいな部分があるかもしれません。これは、せっかくやるなら完璧に!と、根気よく物事に取り組める長所です。
「そうしなくていいのよ」と伝えたところですぐにやめるわけではないのが難しいところですが、「タンスにしまうものはぴったり畳んで、すぐに着るものはそのままでいいね!」などと調節してあげることは可能です。成長と共に、力の入れ時抜き時を判断できるように声をかけてあげましょう。
■「こだわり」が強い
「競争をしたら自分が一番でないと急にやる気をなくしてしまう」「着替ではシャツとズボン(スカート)の着る順番がいつも同じ」「今日着る服は絶対に自分で決めないと気が済まない」「今日食べたいものが明確に決まっている」など、自分の中で“こうでないと嫌なんだ!”とこだわりをもっているケースです。こうした子どもは、一度決めたら貫き通す意志の強さをもっています。
そのこだわりを貫き、かつテキパキ行うための工夫を教えてあげると、驚くほどスムーズになることがあります。どうしても譲れないこだわりの場合は、そのこだわりを大切にする(守る)ためにできることを一緒に考えてあげましょう。もちろん、そこにこだわり続けては今後生きにくくなってしまうというものは、毎回説明をしながら別の方法を示し続け、少しずつ改善していくことが大切です。
■他に「気になること」がある可能性も
実は性格の問題ではなく、他のことに気を取られているだけということもよくあります。着替え中にTVがついていて気を取られている場合や、昨日あったことについてあれこれ考えている場合などです。今していることがやりかけのままボーッとしている場合は、考えごとをしている可能性が高いです。気を取られやすいもの(TVなど)は排除し、「今、何をする時間だっけ?」と声をかけるだけで、ハッと目の前のことに集中できるようになることが多いですよ。
何事もにも時間がかかってしまうとき、性格がマイペースだからできないのではなく、工夫の仕方を知らないだけのケースが多いもの。子どもの気持ちを尊重した上でできる工夫を一緒に考え、少しでもテキパキできるようになったらたっぷり褒めてあげましょう。もしかしたら、どれだけ怒られても改善方法がみつからず、自分でも抜け出せないだけなのかもしれませんよ。
(Nao Kiyota)