未就学児の学びの現場にいると、保護者からの「泣けば許されると思っているんですよね……」というお悩み相談をよく受けます。買い物先で欲しいものを見つけて泣き叫ぶ、おねだりを許してもらえないと大暴れする……自我が芽生えると必ず通る道ではありますが、ママにとっては大変な日々ですよね。
そんな子どもの“泣き落とし”。一番難しいシチュエーションとしてよくあげられるのが、「外にいるとき」です。デパートや公園など他の人もいる場では、我が子のしつけよりも今すぐ静かにさせることに集中してしまい、「結局思い通りにさせてしまう」ということもありますよね。すると、家庭でも許してもらえるまで暴れ続けるようになってしまい、多くのママを困らせています。
「泣けば許してもらえた」という経験があると、「許してもらえるから頑張ろう」と、さらに泣いたり暴れたりするという悪循環に陥ります。ルールを守ることや我慢を学ぶためにも、毅然とした態度で「今は、ダメ」を徹底したいものですね。
では、外にいるときはどうすればよいのでしょうか? 一番困ってしまうのは「ダメよ」と伝えた際に、泣き方や暴れ方がヒートアップしてしまうこと。出先でこのようなことが起こると、今すぐにでも泣き止ませなくてはと焦ってしまいますよね。
子どもにとっては、要求をNOで返されれば一時的に悲しい気持ちが爆発するのが自然です。でも、ここで折れて要求を受け入れてしまうと、子どもは「泣いてよかった」と学習し、解決から遠ざかってしまいます。「子どもは泣くもの」と思って接することも大切ですから、いくら泣いても動じずに「NO」を徹底しましょう。その場では周りの人に迷惑がかかってしまうときは、場所を移動したいですね。
自我が出てきたということは、とても大きな成長です。どうしても何かをしたいという気持ち自体はとても大切なことなので、「欲しかったんだね」「やりたかったね」と受け止めてあげてください。その上で、「こういう場所ではできないんだよ。今度公園でやろうね」などと、できる条件を伝えてあげましょう。
もちろん、そのことで子どもがすぐに納得するわけではありませんが、伝え続けることが必要です。さらに、1度でも我慢ができたときには、その場でたっぷり褒めましょう。この成功体験の積み重ねが、自分の気持ちを抑えて行動する力を育むのです。
我が子の好きなようにさせてあげられないことは、ママにとっても子どもにとっても辛い時間ですよね。そこをグッとこらえて、その子にとって必要な力を鍛えてあげましょう。
(Nao Kiyota)