NHKの連続テレビ小説「エール」。5月21日放送の第39回で、主人公の天才作曲家・古山裕一(窪田正孝)に応援歌を依頼している、早稲田大学応援部の熱血漢の団長・田中隆(三浦貴大)のセリフが、視聴者の涙を誘った。
「エール」は昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う名曲を生み出した作曲家・古山裕一(窪田正孝)と、裕一の妻で自らも歌手への夢を追い続ける音(二階堂ふみ)の夫婦の物語。5月21日放送の第39回では、早稲田大学応援部の応援歌の作曲を依頼されているにもかかわらず、「作れない」と弱気の裕一に対して妻の音が、応援団長の田中に「あなたしか(裕一を説得できる人は)いない」と、説得を促す。
田中は裕一を訪ね、自らの生い立ちを語りはじめる。九州の田舎町で育ち、中学時代は野球少年だった田中。甲子園も期待されていたという。そんな中、バッテリーを組んでいた同級生の清水誠二が足に大怪我を負い、手術をするも元には戻らず野球を断念したという思い出を語った。
田中は〈ゆくぞ甲子園!! 清水誠二〉という、夢破れた友人の文字が書かれた白球を手に「先生、(応援歌を)書いてください! 清水のために」と涙ながらに裕一に哀願。「俺にできることは選手が活躍するために応援することしかないんじゃないかって」「野球場頑張ってる人のラジオば聞いて頑張れる人がおる。頑張ることはつながるんや…」という田中の涙ながらの訴えに、裕一は早稲田大学の応援歌を作曲することを決意した。
「5月20日、日本高等学校野球連盟が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて8月10日から予定されていた夏の甲子園大会の中止を決めたことを発表しました。春のセンバツ大会も中止となっており、春夏ともに甲子園大会が開催されないのは第二次大戦の中断を除いて史上初。そんなニュースが世間を騒がせているタイミングで、『エール』で野球少年が甲子園に行けなかったエピソードが飛び出し、視聴者からは『甲子園中止発表の後だけに“ゆくぞ甲子園!!”の文字は泣けた!』『団長のエピソード、この夏甲子園を諦めなければならない球児たちと重なって涙が止まらない』『大河ドラマでオリンピックを題材にした「いだてん」を放送したらオリンピック延期、「エール」で甲子園エピーソードを扱ったら甲子園中止…NHK“持ってない”な』などの反響が集まりました」(エンタメ誌ライター)
「エール」放送後のNHK情報番組「あさイチ」でも、近江友里恵アナウンサーが「毎日のようにいろんなスポーツが中止になったという話を聞くので、団長の話を聞いて胸が苦しくなった」とコメント。次回、5月22日の放送では裕一がついに早稲田大学の応援歌「紺碧の空」を書き上げる。野球場で音と共に早慶戦を応援するシーンも必見だ。
(金宮炭子)