ネットでの誹謗中傷に心を痛めていたプロレスラーの木村花さんが5月23日に亡くなった件を巡り、2019年1月期のドラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)にあらためて注目が集まっている。
その「3年A組」は、五輪候補だった水泳部のエースが自ら命を絶ったあとの高校が舞台。担任教師の柊一颯(菅田将暉)が自死の真実を知るために、3年A組の生徒を人質に取って立てこもるというサスペンスドラマだ。
「最終回では柊がネット生中継を通じ、誹謗中傷の投稿を繰り返すネット民たちに『言葉は時として凶器になる』と涙ながらに訴える場面がクライマックスに。柊の言葉に心を動かされたネット民が、誹謗中傷を投稿しようとして自ら取りやめるというシーンもありました。この最終回は同枠のドラマ最終回で最高となる視聴率15.4%をマーク。視聴者からも《傑作ドラマだ》《心に響いた》といった絶賛が寄せられていたものです」(テレビ誌ライター)
しかしながら今回、木村さんを追い詰めたのはまたしてもネット上での誹謗中傷だったという。なぜ「3年A組」が物語に込めたメッセージは伝わらなかったのだろうか。
「実際には『3年A組』に触発されて、誹謗中傷を控えるようになったネット民も少なからずいるはず。決してドラマのメッセージが無力だったわけではありません。しかし過去の例を見ても、ネットで他人を攻撃する連中の多くは反省や後悔とはまったく無縁で、他人への攻撃そのものを楽しんで行っているのが現実。某芸人がいわれのない中傷に苦しめられたケースでは、警察に任意同行されて反省の言葉を口にしていた犯人が、その3時間後にまたもや誹謗中傷をネットに書き込んでいたというおぞましい例もあります。結局、刑罰や社会的制裁が与えられない限り、誹謗中傷を止める手立てはないというのが残酷な現状のようです」(週刊誌記者)
悲しい現実なれど、罵詈雑言が渦巻くネットの世界において「3年A組」のメッセージに想いを馳せる人たちが少なからずいることが、せめてもの救いなのかもしれない。
(白根麻子)