たしかにキレイはキレイなのだが…。5月30日放送の「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系)で紹介された“科学を使った即席インテリア”に対し、その危うさを指摘する声がお茶の前からあがっているという。
この日はゲストコメンテーターを務める東京大学薬学部の池谷裕二教授が、家庭にあるもので簡単に作れるという即席インテリアを実演。グラスに色つきの水と食用油を入れ、そこにビタミンCの発泡錠を入れると炭酸ガスの気泡が発生し、油の中で水が浮いたり沈んだりを繰り返すという代物だ。池谷氏は発泡性の入浴剤も使えると説明していたが、そこに思わぬ危険が潜んでいるというのである。
「決して食べ物がもったいないとか、入浴剤を入れたら水や油が使えなくなってしまうということではありません。問題なのはこのコーナーで、即席インテリアの処理方法を紹介していなかったことにあります。主成分は食用油ですから、その廃棄に際しては凝固剤で固めたりスポンジ状の油処理剤に吸わせたりして、燃えるごみとして捨てるのが必須。しかし“廃棄油は燃えるゴミ”ということを知らず、流しにそのまま捨ててしまう人が後を絶たないのが現状です」(女性誌ライター)
流しに油を捨ててしまうと排水管のなかで詰まってしまう原因に。油そのものはサラサラしていそうだが、食材くずなどと結びつくことでベタベタの物質に変化してしまう。また、流しに捨てたものは下水処理場に運ばれ、高度な処理を経て最終的に海に流されるが、その処理でも油は大敵。もし油分が海に流されてしまうと汚染の原因となるほか、魚介類が窒息死するなどの環境被害を与えてしまうのだ。
「ネット掲示板でもよく《天ぷら油って流しに捨てちゃいけないの?》というスレッドが立つなど、うっかり生活排水に捨ててしまう人は少なくありません。それゆえテレビ番組で食用油を扱う時は、その処理方法も同時にアナウンスすべきでしょうし、食用油をインテリアに使うというイレギュラーな内容ならなおさらです。しかし『ニュースキャスター』ではそういった注意点についての紹介は皆無。なかには番組を見てすぐに即席インテリアに挑戦し、流しに捨ててしまった視聴者もいたかもしれません」(前出・女性誌ライター)
なおバレンタインデー前後には、流しに溶けたチョコを流してしまい、配水管が詰まる事故が至る所で発生している。なんでもかんでも“水に流す”わけにはいかないということを覚えておきたいものだ。
(白根麻子)