個人事務所「のんびりなかい」の代表取締役社長であり、唯一の所属タレントでもある中居正広。2月21日にみずからの仕切りで開いたジャニーズ事務所の退所記者会見は、エンターテイナーの真骨頂を見せた“中居劇場”だった。
SMAP時代にメンバーから「下準備の男」と言われていた中居らしく、あの会見は緻密な計算と万全の打ち合わせ、大きな意味合いを持って臨んでいたことが、4月上旬のホームページ開設を機に明らかになった。
そもそも、会社登記したのは会見直前の2月19日。この日は、15年に79歳でこの世を去った実父・正志さんの命日だった。また、会見では高級腕時計がチラ見えしていたが、これは正志さんに01年、誕生日プレゼントとして贈っていた遺品。裏に「ハッピーバースデー to パパ from ひろちゃん」と書かれている。普段は仏壇の横に置いているものだ。
その仏壇には、故・ジャニー喜多川氏の遺骨の瓶も置いている。会見では、小瓶に詰めた遺骨を披露したが、正志さんとジャニー氏のダブルの力を借りて、晴れ舞台に立っていたのだ。そして、この“ジャニーイズム”は、思わぬところでも発露していたという。
「それは照明です。あの会見は、テレビ朝日の番組収録前に行いましたが、事前に中居はスタッフに『灯りを作っていただけませんか。横からオレンジの灯りを2つくらい置いてもらえませんか』とお願いしていました。会見は白と黒が主な配色で、カメラのフラッシュがたかれると無機質な感じになってしまう。それを危惧したのです。すると当日、美術さんが会場後方に多数の照明を天井から吊るしてくれました」(芸能関係者)
ジャニー氏は生前、舞台の照明にこだわった。91年のSMAP結成直後、まだ高校生だった中居に照明の番号、色味、特徴などを丁寧に教えている。将来、舞台を演出する側にも回ることを見越した教育だった。
「ジャニーさんが好きだったのは、ピンクがかった80番台。映像よりむしろ、舞台映えする色です。『YOU、これは80番台で、赤から紫がかる番号なんだけど、躍動感があるときはこの灯りを使ったほうがいい。ボクはちなみに、88番。パーパーが好きだからね』と言われたため、中居はSMAPコンサートでやたら88番を使ったそうです。すると、『YOU、88番使いすぎだよ!』と注意されたこともあったとか」(前出・芸能関係者)
ジャニー氏は、照明などの細かいことの積み重ねがコンサートや舞台を成功させると、弱冠16、7歳の中居に教えた。さらに、「ライブの半分以上は灯りで決まるということも覚えておきなさい」と伝えた。しっかりメモして、10代のころは照明のことまで勉強した。
それを生かしたのが、退所会見。ジャニー氏は遺骨だけではなく、オレンジ色の照明としても“同席”していたのだ。
(北村ともこ)