6月28日の棋聖戦で渡辺明棋聖に勝利した藤井聡太七段。今回も、プロをも唸らせる奇抜な一手で勝利し、これが新しい定石となるだろうとまで言われている。
「定石とは、囲碁や将棋でのある局面における指し手、打ち方で、長年の研究や経験により最善とされるもののことですが、藤井七段が中盤で指した3一銀は、誰も想像すらしなかった手でした」(週刊誌記者)
いまやAI将棋が棋士を凌駕する時代と言われるが、コンピューター選手権で優勝した将棋ソフト「水匠2」を開発した弁護士の杉村達也氏が、ソフトを通してみた藤井七段のすごさをツイッターで吐露し、大いに話題になっている。
「今回の局面を将棋ソフトに4億手読ませたそうですが、その新手は全く出てこず、6億手に増やして初めて突如として最善手として出てきたそうです。これまでも藤井七段の打った手はAIを超えていると話題になってきましたが、杉村氏は、今回の発見はこれまで以上に途方もなくすごい難易度だと語っています。藤井七段はその6億手を本能でわかっているのです」(前出・週刊誌記者)
棋聖まであと1勝の藤井七段。さすがに平常心ではいられないのではないかと思いきや、師匠である杉本昌隆八段は、全く動じていないだろうと断言する。今回の快挙も、藤井七段にとっては研究してきたこの手を試してみたいというワクワク感で指したもので、タイトルに王手をかけたということより、やってみたかったことがうまくできてうれしいという喜びだけだろうというのだ。
藤井七段がAIを凌駕してしまう理由は、将棋を「楽しむ心」にあるのかもしれない。
(伊藤その子)