5日に投開票が行われた東京都知事選で、366万票という圧倒的な得票数で再選を決めた小池百合子都知事が、同日夜に放送された「池上彰の人類vsコロナ危機~徹底検証!あの時何が起きたのか~(テレビ東京)」に生中継で出演、司会を務めるジャーナリスト・池上彰氏によるインタビューの中で緊迫するやりとりがあった。
投票締め切り直後に当選確実が報道された小池氏は、「これまで4年間にわたって『人が輝く東京』ということで、女性政策、待機児童対策、障害者対策、高齢者対策、いろいろ行ってまいりました」と自身の施策が評価された結果と訴えた。
その後、都のコロナ対策についてなど質問は移っていったが、やりとりの中で、国政復帰に意欲があると噂される小池氏へ池上氏が「4年間の任期をまっとうするか?」と尋ねると、「今日、都知事に改めて選んでいただいたばかり。しっかりと都知事としての仕事を重ねていきたい」と明言を避け、これに池上氏が「約束するか?」と念を押すと、「自分自身の健康をしっかりと守っていきたい」と返答した。
池上氏が「ニュアンスが分かった」と次の質問に移ろうとすると、小池氏はそれを遮り「どういうふうに分かった?」とタメ口で逆質問。池上氏が「断言されなかったなあと。今後の状況によっては変わるかもしれないというニュアンスを、私は感じた」と返すと、「違いますよ。だから素直に今、申し上げたじゃないですか」と憮然とした表情で述べた。
さらにハイライトは用意されていた。池上氏が、小池氏の学歴詐称疑惑を追及したノンフィクション「女帝 小池百合子」(文藝春秋)を中継先の小池氏にかざして見せ、「お読みになりましたか?」と尋ねると、小池氏は一転して厳しい表情となり「読む暇がございません」とピシャリ。池上氏が「これから読む予定はありますか?」と畳みかけると、「コロナで大変忙しくしております」と小池氏ははぐらかすしかなかった。
「この応酬には、スタジオでインタビューを見守っていた高畑淳子が『池上さん、池上さん』と悲鳴に近い声をあげて心配するなど緊迫した場面となりました。同書は著者の石井妙子氏が、小池氏のカイロ大学在学時に同居していた知人への詳細なインタビューにより、小池氏のカイロ大学首席卒業との経歴が偽りであると指摘。さらに公害被害者など社会的弱者への小池氏の冷淡な態度や、都職員からの評価が歴代知事の中で最低点であるなど、小池氏のさまざまな素顔を浮き彫りにし、ノンフィクションとしては異例の20万部を超えるヒットとなっています。ただ、選挙期間中はもちろん、当確が打たれた後の各局のインタビューでも、同書について本人に質問されることがなかったため、以前より選挙特番での当選者への厳しい質問から“池上無双”と称されている池上氏に期待が集まっていました。池上氏は期待通りの切り込みを見せ、小池氏を憮然とさせることはできましたが、学歴詐称疑惑について発言を引き出すには至りませんでしたね」(スポーツ紙記者)
疑惑追及を振り切って、再選を果たした小池都知事。コロナ禍も含めて問題山積な都政に辣腕を振るってほしいものだ。
(多部順)