俳優の中尾彬が7月14日に放送された「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)に出演。新型コロナウイルスの大量感染者を出した舞台関係者に、怒りのコメントを発した。
番組ではこの日、出演者・観客併せて850名が濃厚接触者に指定された舞台「THE★JINRO-イケメン人狼アイドルは誰だ!!-」(6月30日~7月5日、新宿シアターモリエール)のクラスター問題について取り上げた。その中で、観劇した女性がインタビューに応え、「公演中は換気せず締めきり状態だった」「舞台から客席最前列まで1メートル程度しかなかった」ことなどを証言。
十分に感染対策がなされていなかったことについて中尾彬は、「この時期にこの芝居をやろうと考えたプロデューサー、やりましょうと言った劇場側、出演しますと言った俳優、みんな無神経だよ」と怒りを隠さず、「これだけ無神経なやつがものを作っちゃいけない。他に影響するから」と畳みかけた。
「問題となった劇場はいわゆる“小劇場”で、舞台と客席が近いのが魅力ですが、いわゆる3密になりやすい空間でもある。より対策が求められていましたが、そんな中でのクラスター発生は遺憾としか言いようがありません。ただ、主催者や劇場側だけを責めるのは少々酷な部分もある。客席の最前列にはフェイスシールドが用意されていたが、一部から『こんなもの付けて観劇できるか』とクレームが入り、説得に応じないお客が着用を拒否。結局、なし崩し的に着用なしを認めてしまった…との情報もあります。こうしたことはチケットを販売する前から明示して、ルール徹底できていればよかったのですが…」(舞台関係者)
この劇場クラスターについて落語家の立川志らくは14日の「グッとラック!」(TBS系)で、過去に2度使用したことがあると明かした上で「1人感染したらみんな感染するのは分かる」と、楽屋の狭さを指摘。
また同番組に出演した劇作家の鴻上尚史は、濃厚接触者が850名にも上ってしまったことに、「体調の悪かった人の数、ハグやサインや握手など触れ合いの有無」などについて“正確な事実を知りたい”と唱え、「狭い劇場の一番後ろでただ黙ってマスクをして見ていた人を一緒にできるのか。何もなかったら何もなかったっていう情報を知りたい」と、上演時にどこまでOKで何がNGなのか、線引きの基準を明確にする必要性を訴えた。
さらに俳優の坂上忍は14日に放送された「バイキング」(フジテレビ系)で、「ガイドラインに沿った対策を取ったとしても感染する時はするんです。それを責めることはできません」とした上で、「ただ、やっぱり上演する時の対策を万全にとっていたとしても僕ら、あの楽屋の中の状況とか、“入り待ち”“出待ち”しているお客さんとのコミュニケーションとかも分かっているから、そっちの方もちゃんとしておかないとな、と僕は思ったんだけど」と、劇場内外での慣習についても対策すべきと持論を述べた。
「THE★JINRO」を主催・制作したライズコミュニケーションは8月に予定していた公演の中止を発表。文化活動が再開された折から、影響は各所に広がりそうだ。
(石見剣)