放送中のドラマ「アンサング・シンデレラ」(フジテレビ系)に、好不評の対照的な感想があがっているという。「薬剤師という仕事にスポットライトを当ててくれてありがとう」という感謝の声と、「薬剤師に対する誤解を生む」と憂慮する声だ。
これまでの医療ドラマと言えば、「白い巨塔」(フジテレビ系、テレビ朝日系)や「コウノドリ」(TBS系)といった医師を中心にしたシリアスな作品か、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)や「ナースのお仕事」(フジテレビ系)のように、医師や看護師の仕事を笑いの要素を交えながら描くエンターテイメント作品が多く、薬剤師が主人公のドラマは皆無と言っていい。現在のコロナ禍で薬剤師が主人公のドラマを放送することは、医療従事者に対するエールととらえる視聴者もいるだろう。
「しかし、例えば第1話で石原さとみ演じる薬剤師の葵みどりが、医師や看護師に交じって心臓マッサージを行ったり、医師や助産師が無能なために間違った投薬をされそうになるのを葵(石原)だけが気づいて制止したりするシーンなどは、確かに薬剤師に対する誤解を生みそうです。人手が足りない状況で薬剤師が心臓マッサージをする可能性はありますが、ドラマでは葵の周囲には医師や看護師がたくさんいましたからね。また、葵が薬剤師として優秀であることを描くために、医師や助産師を無能であるかのように描くのも疑問です。
第2話では、厚生労働省の麻薬取締官が医療用麻薬の管理調査のため舞台となっている萬津総合病院にやってくると、管理庫に戻し忘れた医療用麻薬を新人薬剤師・相原くるみ(西野七瀬)が取り戻しに行くシーンが描かれ、その間、ベテラン薬剤師の荒神寛治(でんでん)が麻薬取締官たちに手品を見せて調査をさせないよう時間を稼いでいたのですが、ネット上には現役薬剤師を自称する人々から『麻薬管理官に手品を見せるなんてリアリティが1ミリもない』『「白い巨塔」のようにシリアスに見せるか、「ナースのお仕事」のようにコミカルに見せるか、どっちかにしてほしい』『薬剤師が主人公のドラマなんて最初で最後だと思うから、どうかもっと事実を描いてください』など、悲痛な声も書き込まれています」(女性誌記者)
ドラマの原作となっている荒井ママレ氏による漫画「アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」には薬剤師の仕事が丁寧に描かれているだけに、このドラマの仕上がりが不思議で仕方ない。