“難解すぎる”映画「テネット」がコロナ禍に世界で大ヒットしているワケ

 日本では9月18日より公開したクリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET テネット」の世界興行収入が遂に累計3億ドルを突破したという。

 度重なる公開延期を経て、コロナ禍での劇場公開に踏み切った「テネット」。アメリカのエンタメ誌「Variety」によれば、10月4日に世界興収が大台の3億ドルを突破し、配給会社が製作費を回収できる4億ドルのラインまであと1億ドルに迫っている状況となった。

 日本でも当初は座席数を間引いて公開されたものの、10月5日時点で累計興収は16億円に到達。本国アメリカでの暫定興収が4510万ドル(約47億円)であることを考慮すれば、日本での“テネットフィーバー”は大きな経済的効果をもたらしていると言えるだろう。

 また、本来同時期に封切られることが予定されていたディズニー作品「ムーラン」が劇場でのリリースを諦め、自社保有のストリーミングサービスでの供給に踏み切った。これについては一部の劇場から批判の声が出た他、映画ファンの間でも“ディズニーは映画館を見捨てた”との辛辣な声が出ており、あくまで劇場大画面での公開にこだわった「テネット」のノーラン監督はさらに株を上げた格好だ。

「ロサンゼルスやニューヨークの映画館が再開されないなど、未だに深刻なコロナ禍に喘ぐ本国アメリカでの成績が振るっていない印象もありますが、世界ではこの特殊なご時世の中、異例のヒットを記録しています。その背景にはもちろんノーラン作品の元々の人気もありますが、コロナ禍でライバルとなり得る映画作品が軒並み公開を延期しており、劇場での人気をほぼ独占できているのも大きい。また『テネット』は、通常のスクリーンよりも割高なIMAXシアターで鑑賞するファンが多く、観客動員数に対して興収が伸びやすくなっている。実際、10月3~4日の国内映画ランキングでは、『浅田家!』が観客動員数で初登場1位ですが、興収の金額では2位の『テネット』の方が4000万円近く上回る結果になっています。こうした点も、コロナ禍にも関わらず『テネット』が順調に数字を伸ばせている理由といえるでしょう」(エンタメ誌ライター)

 加えて「テネット」がヒットする最大のワケは、その難解すぎるストーリー設定にある。ノーラン監督は過去作「メメント」や「インセプション」「インターステラー」でも複雑怪奇なシナリオでファンを唸らせたが、今作「テネット」は“ノーラン史上最も難解”ともっぱらの評判だ。

 “時間の順行と逆行”をテーマに据え、第三次世界大戦の勃発を防ぐという大きなミッションを託された主人公の奮闘を描いたアクション大作だが、初見ではその内容を完全に理解することがほぼ不可能なほど、複雑に入り組んだ内容となっている。これが興収面で奏功し、SNSでは複数回にわたって「テネット」を鑑賞したことを報告するファンのツイートが続々と投稿され、多くのリピーターを生んでいるようだ。

 コロナ禍におけるライバルの不在に始まり、IMAXシアターとの相性、そして“後を引く”面白さを備えるシナリオの存在。これらの要素が重なり合うことで、未曾有の危機に見舞われた映画館に一筋の光明をもたらすことができているのかもしれない。

(木村慎吾)

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