生放送ならではのアクシデントだろう。
森喜朗会長の女性蔑視発言のあと、まさに上を下への大騒ぎとなった東京五輪組織委員会。12日の辞任発表に先駆ける形で、後継者に名前が挙がっていたのが、Jリーグのチェアマンなどの実績を持ち、スポーツ界の調整役として国内では右に出る者がないと言われる川淵三郎氏。世間からも「川淵さんなら何とかしてくれそう」「組織委に若い人はいないのか」などと賛否はありつつも、川淵氏で決まりと見られており、それはテレビ局も同じだった。ところが──、
「12日放送のお昼のワイドショー『バイキングMORE』(フジテレビ系)でも、川淵氏が後任と信じ切って冒頭から特集。たとえば同時間のワイドショー『ひるおび!』(TBS系)でも同じテーマを取り上げており、そこでは失言の元凶となった森会長の推奨という形でのバトンタッチでは『今回の問題をわかってない』という反対意見なども出てましたが、バイキングではほぼ川淵氏を応援。MCの坂上忍さんも“結局、この人しかいない”といった感じで、番組では坂上さんが川淵さんへインタビューした動画も放送されていました。ところが、川淵さんをさんざん持ち上げた直後に、番組進行役の伊藤利尋アナから『速報です』と報告が。そこで発表されたのが政府側が川淵氏の就任を見送るというもの。その瞬間、それまで放送していた流れが台無しに。スタジオ中のコメンテーターたちも状況を飲み込めない様子でしたね」(週刊誌ライター)
番組内容が速報であっさりひっくり返されると、出演していた元JOC委員会の春日良一氏は「政府の介入が明るみになった」「スポーツの独立性を損なう」など憤慨。それに坂上も大きな声で同調。とにかく番組が川淵就任白紙を受けて“顔面蒼白”といった状態に。SNSも「これはすごいどんでん返し」「インタビューまで流して悦に入ってたのに笑う」とお祭り状態になってしまった。
「正式に就任したわけではない川淵氏が、問題の森会長を相談役にするなど先走ったのが批判されたことや、年齢的な問題、また女性を入れるべきという声に政府が待ったをかけたのだと思います。どちらにしても、メディア側が川淵氏なら誰も反対しないだろうとハナから決めつけていたのは問題。そういう意味で『バイキングMORE』も勇み足でしたね。速報直後はあせって、政府の介入を許していいのか?というムードでしたが、今後はどういったスタンスを取っていくのか注目ですね」(前出・週刊誌ライター)
川淵氏のおかげで「サッカーをやりたくなった」など、功績を持ち上げまくったバイキングMORE。でも、問題発言で辞任する森氏に後任の指名権などないはず。そこを読み違えて、有名人で実績がある人なればとおもねる番組、そしてMCの性格が久々に出てしまったのかも?
(飯野さつき)