お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が7月25日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)に出演。ホロコーストに触れたコントネタが原因で東京五輪開会式のショーディレクターを解任された演出家の小林賢太郎について言及した。
小林は、お笑いコンビ・ラーメンズとして活動していた1998年、ホロコーストを揶揄するかのような表現が含まれていたコントがあったことから、多くの批判を浴び、開会式の制作メンバーから外される事態となった。
太田はこの解任劇について「ある程度仕方ない」としつつ「当然とは思えない」とコメント。小林自身にユダヤ人を冷やかす意図はなかったとし、彼らが作成したコントの真意を政府や組織委員会がユダヤ系人権団体に説明する必要があるとも主張している。
太田は「あのネタの前提は、NHK教育の『できるかな』という番組を茶化すネタ。小林賢太郎が茶化したのは虐殺があった事実ではなくて、あの当時のNHKの看板番組だった『できるかな』という番組の偽善性を茶化すということ。番組の中で喋らないノッポさんが喋り出して、エスカレートしていくというのが構成のネタなんです」と問題視されたラーメンズのコントを解説。続けて、彼らが敢えてホロコーストのワードを入れた狙いについても、「ノッポさんが絶対に言わないセリフを言わせたかったわけですよ。つまり、彼の中では(ホロコーストは)“世界一残酷なもの”としてあったわけですよ」とし、ノッポさんのキャラクターのギャップを演出するために敢えて悲惨なワードを使用した可能性を指摘している。
「とはいえ、太田はそうしたネタの背景があったにせよ、『解任は仕方ない』との考えを示しつつ、併せて、小林にホロコースト自体を茶化す意図がなかったことを政府は説明するべきだと主張しました。爆笑問題も社会問題などを風刺するネタを漫才に取り入れることが多く、特定のワードに触れただけで大炎上してしまうような堅苦しい世の中になってほしくはないという思いがあるのでしょう。
ラーメンズのネタについては批判一辺倒な報道が大半を占める中、その真意を熱心に代弁した太田に対し、ネット上では『しっかり説明してくれてよかった。小林さんが本当にホロコーストを茶化したか、創作の一要素として最も残虐なものの一例として発言したかでは大きな違いがある』『その道のプロである太田さんが、火中の栗を拾ってでも視聴者に解説してくれたのはありがたいなと思う』『なるほど。そこだけ切り取られて報道されてたから、こういう解説はありがたい』との好意的な反応が寄せられています。しかし、揶揄する意図がなかったにしても、欧米では触れること自体をタブー視する風潮が存在するため、コントの中で言及する題材としては不適切ということになるでしょう」(テレビ誌ライター)
誤った解釈のもとでラーメンズのネタが炎上してしまうことだけは、同じくネタ作りを生業とする太田の立場として、やはりひと言物申したい思いがあったのかもしれない。
(木村慎吾)