俳優・保阪尚希が9月18日放送のラジオ番組「ナイツのちゃきちゃき大放送」(TBSラジオ)にゲスト出演し、ライバルの多い芸能界で生き残るためのサバイバル術を熱弁した。
現在は役者業よりも通販コンサルティングや健康料理研究家として活動し、マルチな才能を発揮する保阪。「芸能というのは通販に似ていて、席取りゲームなんですよ」と表現し、「すごくいいパパ像の人がいたら、“1枠”なんです。その人が全てのCMをかっさらい、全ての番組を取る。ここを狙うとしたら、こいつをどうやって落とすかっていう商品開発をしないといけない。自分が商品だから」と数少ない枠を奪い合う芸能界の競争を解説した。
保阪自身は、王道のクリーンなキャラクターではなく、あえてダークなヒールのポジションを狙ったとし、「ドラマに出る時は、ちょっと怖くてエリート上がりで官僚とか医者をやってて、超高層マンションに住んでて、赤いソファに女を押し倒すみたいな」「映画になると、もっと悪い殺人鬼とかやるんですよ」と実際に演じてきたヒール役を回想。保阪によれば、これらの役柄は俳優にとってはあまり好ましいものではないとのことで、「何でかといったら、我々の芸能の仕事ってCMを取りに行く仕事だから」とスポンサーから悪いイメージを持たれてしまうことが理由だという。
続けて、「スポンサー取りに行ってナンボなんですよ。だって1日(のCM撮影)で1年分、2年分もらうんだもん。そのために、どんな商品が来ても笑うわけじゃないですか」とし、皆が消極的になる“ダーク路線”に着目。「ここ、穴なんですよ。若い頃からここしかやらないんですよ」と明かしている。
「競争の激しい芸能界において、常にライバルが少ないゾーンを見出し、戦略的に攻めてきたという保阪。実際、彼の役者としてのイメージは、爽やかさよりもクールで冷徹な印象が強く、本人が狙った通りのキャラクターが形成された結果といえます。芸能界だけでなく、通販の世界でもニッチな需要を埋めてきた保阪の見事な処世術が明かされ、世間から『聴いててスゲエと思った。どこかの企業セミナーを受講しているような説得力があった』『聞き入ってしまった。もっと聞きたいなと思わせるうまい話術』『達観した生き方をしていて、幅が広い』『なんか国会議員とかにも向いてそう』『テレビで保阪さんを見ると冷徹な感じの役柄のせいか、とても怖くてチャンネルを替えてました。そのイメージがなかなか取れなかったけど、そういうことだったんですね』などの反応が寄せられました」(芸能ライター)
今や年商10億円の“通販王”として名を馳せる保阪だが、過去にはそんな彼のズバ抜けたサバイバル術がバラエティ番組内で光った瞬間があった。
2004年10月2日、保阪は今やフジテレビの大人気ゲーム番組となった「run for money 逃走中」の第1回放送「渋谷篇」に参戦。まだ前例のなかった同番組にて、「逃走中だからって皆ハンターから逃げるから捕まる。逃げるんじゃなくて、ハンターを監視すればいい」との持論を語り、“逃走”せず、木の上からハンターを見張るという斬新な作戦を実行したのだ。
結果的に保阪は最後まで逃げ切りに成功し、番組の初代逃走成功者として君臨。ただ、この保阪による“禁じ手”を受け、以降の番組ではミッションやストーリー性を高めることにより、参加者が常に流動的にステージを動き回らざるを得ないような環境を作り上げた。
今なら大炎上しかねない保阪の裏ワザとも言える逃走術。敢えてダークなキャラを狙い、CM好感度を捨てる覚悟を持っていた保阪にとっては、なんの躊躇も要らない決断だったのかもしれない。
(木村慎吾)