ジャニーズタレントは顔面偏差値が規格外の高さのため、学生時代からモテモテのイメージが強い。バレンタインデーには抱えきれないほどのチョコレートをもらい、卒業式では第二ボタンどころか、すべてのボタンをはぎ取られる。ジャニーズタレントなら誰もがそんな伝説を作ってきた。
そんななか、いびつな形でモテ期を逃したトップアイドルがいる。嵐の櫻井翔だ。慶應幼稚舎出身で、内部進学でも難関で知られる慶應大学経済学部に進んで卒業したスーパーエリート。ジャニーズでアイドルと大学卒業を成し遂げたパイオニアだ。
しかし、多感な思春期を男子校で過ごし、中学2年生でジャニーズ事務所に入所したため、モテ期が“ゆがんで”しまった。アイドル誌のライターが言う。
「博学がゆえ、歯の浮くようなセリフを言われても『ジャニーズの子』というバイアスがかかっていることを自覚していたのです。バレンタインでチョコをもらっても、本人のなかでは『ジャニーズの会社の子としてもらっている』と冷めた分析をしていたとか」
美しく生まれてしまった男の宿命は、意外と切ない。しかし、そのかわいさは群を抜いていたため、入所前に“逆ナン”を経験しているという。
「中2の時に文化祭に行くと、女子高生のお姉さんたちから声をかけられ、『かわいい! ジャニーズJr.の子?』『えっ、ジャニーズじゃないの?』とチヤホヤされたのです。それで腕を試したくなり、自分で履歴書を書いてジャニーズ事務所に送ったのです」(前出・アイドル誌ライター)
当時はサッカー少年。ある日帰宅すると、親から開封された緑色の封書を見せられた。「書類選考の上1次審査合格致しました。」という見出しが躍る書面には、2行にわたって「10月22日(日)午後3時よりジャニーズJr.臨時オーディションを行ないます。」という文面と、六本木の会場の地図が書かれていた。
ちなみに、のちにメンバーとなる大野智、二宮和也、相葉雅紀にも同じ封書が届いていた。オーディションなしで、故・ジャニー喜多川元社長から直接電話がかかってきてJr.になったエリートの松本潤には、この共通した思い出がない。
中2の時に女子高生から「ジャニーズ」の言葉を聞いていなければ、嵐の櫻井翔は誕生していない。そのもとをたどれば、逆ナンもどき。トップアイドルの人生は、ひょんなことで変わるのだ。
(北村ともこ)