12月22日に放送されたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の第38回。第1部の実質的な最終回とあって怒濤の展開にネットはさまざまな感想が寄せられた。
前日の放送では、安子(上白石萌音)は失踪した算太(濱田岳)を探して大阪の街を何日も歩き回り続けたが消息はつかめず、ついに疲労困憊のあまり雨の中に倒れ込んでしまうところで終了した。
今回は、何日も帰ってこない母を探しに娘のるい(古川凛)が小学校の入学式当日に雉真家を飛び出し、単身列車に乗って大阪へ。しかし、るいが見たものはロバート(村雨辰剛)に抱きしめられた母親の安子だった。自分を雉真家に置いてロバートのもとに行ってしまったと誤解したるいは安子を許せなくなり、再び雉真家に戻る。
るいの濡れた髪の毛を乾かしていた女中の雪衣(岡田結実)はつわりと思われる発作を起こし、流し台へ。それを呆然と見守るのは勇(村上虹郎)。同時期、安子の親友・きぬ(小野花梨)は陣痛を迎え出産、喫茶店のオーナー・定一(世良公則)のもとには戦争に行ったきり帰ってこなかった息子・健一(前野朋哉)が現れる。
そして、雉真家からるいがいなくなったことを知らされ、急いで雉真家へ帰宅した安子の前に立ち塞がったのは娘のるい。入学式に間に合わなかったことを謝る安子に対してるいは「もう来ていらん。二度と会いとうねえ」と背を向ける。引き留める安子に対してるいは振り返り、事故でできた額の傷を見せながら「I hate you(大嫌い)」と言い放つ。絶望して再び雨の中をさまよう安子を見つけたのはロバート。ロバートの腕の中に倒れ込んだ安子は「Take me to the United States(私をアメリカに連れて行って)」とすすり泣きながら懇願する、という展開だった。
ネットでは《あまりにも詰め込み過ぎ》《朝ドラ定番ハッピーエンドとは程遠い安子編の終わり方だったなぁ》《最後の「大嫌い」が衝撃だった。もう安子が見られないと思うと寂しい》《ただただ一生懸命生きてきただけなのにね安子は(泣)》など賛否入り乱れるさまざまな感想があふれた。
なかでも女中の雪衣に対して《雪衣さんのつわりが早すぎて、勇どゆこと?》《雪衣さんがつわりみたいにオエッてなってたの、案外お相手は勇ちゃんじゃなくてお父さん=千吉さんだったりして》《雪衣と勇の関係は前から?》など疑問やさまざまな考察も飛び出した。
「前回、勇と雪衣は一夜を過ごした描写がなされましたが、あれが原因ならわずか数日でつわりが起きたことになってしまいます。2人は以前から関係があったと考えるのが自然でしょう。それは雪衣の勇に対する態度からも感じさせます。
今作は登場人物それぞれに表と裏、強さと弱さの二面性が描かれているのが特徴。勇は安子に純粋な思いを抱いているように見えましたが実は雪衣と長い間関係を持っていた。雪衣は雉真家に忠実な女中ですが、裏でるいに『お母さんはあなたと一緒に暮らすことをあきらめて雉真家に返すつもりだと思います』と吹き込んで、るいと安子の仲を引き裂く遠因を作りました。
雪衣に惹かれていた安子の兄・算太は戦後、和菓子店の再興に奔走するなど心を入れ替えたように見えましたが、雪衣と勇の仲を知ったことで結局、すぐに逃げ出すもとの性格に戻ってしまいました。勇の父の千吉(段田安則)は安子とるいに優しく慈悲深い人物として描かれていますが、その一方で親子の絆よりも家の血筋を優先させ、安子が家を出るならるいは置いていけと迫ります。そして安子は娘・るいの幸せを願っているだけなのですが、要所要所の言動がことごとく裏目に出て、るいを失望と不安に追いやってしまいました。そういった積み重ねが一気に昇華したのが今回で、物語や人物達に深みを与えたと言えるのでは」(ドラマウォッチャー)
始まった第2部のるい編ではどのような展開が待ち受けているのだろうか。
(柏原廉)