北京オリンピックのフィギュアスケート・男子シングルでの、羽生結弦選手の4回転アクセルの挑戦が公式に認定された。その快挙に世界中から喜びの声があがっている。
しかし、五輪の成績としては総合では4位。惜しくもメダルに届かず、連覇できなかったことについて、羽生選手も尊敬するフィギュアスケート界のレジェンド、エフゲニー・プルシェンコ氏がコメントしている。
「プルシェンコ氏は、『私は北京でハニュウに3度目の五輪王者に凄くなってほしかった。それは実現可能でした』とロシアの新聞に語ったそうです。4回転アクセルを無理して跳ぶ必要はなく、跳ばなければメダルは確実で、優勝だってできる可能性があった。羽生選手がケガをしていなければ、三連覇を狙いにいったはずだと分析したのだとか」(女性誌記者)
確かに、五輪前には羽生選手の三連覇を期待する声が多く、世界でもその動向が注目を浴びていた。羽生選手も、自身の挑戦の成功の延長線上に三連覇があるというコメントをしていた。しかし、羽生選手の本心は別にあったのではないかとする声も。
「平昌五輪で引退を考えていたほどの羽生選手にとって、自身のスケートへのモチベーションを高めてくれるのは4回転アクセルの成功だけだったのではないでしょうか。それは、ブライアン・オーサーコーチと距離を取っていたことからも想像できます」(スポーツライター)
今回の北京五輪では競技後のキス&クライにオーサー氏の姿はおろか、チームクリケットの誰の姿もなく、羽生選手は1人で結果を受け止めていた。オーサー氏は韓国チームの帯同コーチとしてチャ・ジュンファン選手につき、羽生選手の希望で今回は試合には付き添わないというコメントを発表していた。
「羽生選手もチャ・ジュンファン選手も最後のグループでの滑走でしたから、6分間練習の前のリンクサイドでオーサーコーチと羽生選手はすぐそばですれ違ったりもしていましたが、2人とも目も合わることなく通り過ぎていました。コーチ陣と羽生選手とは良好な関係だとは言われていますが、行動だけを見ているとお互いに何か思うところがあるような様子でしたね」(前出・スポーツライター)
勝利するためには演技構成など、事細かな戦略をたてることで知られるオーサー氏。プルシェンコ氏同様、三連覇達成のため、4回転アクセルの強行には反対していたのかもしれない。羽生選手は手堅い三連覇より4回転アクセルを目指して、オーサー氏と精神的にたもとを分かったということではないか。オーサー氏のアドバイスは仰いでいたとはいえ、羽生選手がコロナを理由にカナダに戻らず、日本で1人で練習を続けていたのも、そういう決意の現れだったのかもしれない。
(芝公子)