ジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏といえば、日本のショービジネスの礎を築いた偉大なる父。その後ろ姿を見て育ったタレントたちは、若くしてステージの成り立ちを学び、得意分野を生かしたプロデュースをして、エンターテインメントの真髄を学んだ。現在、所属するタレントのほとんどがステージ演出やプロデュース業も兼務しているのは、ジャニー氏のレガシーといえよう。
ジャニー氏は特に、ジャニーズJr.の育成に尽力した。10年後は事務所を背負って立つであろう子を数名ピックアップして、若いうちにハワイやアメリカに連れていった。入所直後の小学6年生でハワイに連れて行ってもらったのは、のちにHey! Say! JUMPとなる山田涼介と中島裕翔。現地では、同世代とおぼしき関西ジャニーズJr.たちと合流した。ゆえに、“事件”が起こった。
「ハワイに先に到着したのは関東組。ジャニーさんは『ここで待ってて』と言って、関西組を迎えに行きました。ところが、帰ってこない。電話をかけたら、『YOUたち何してんの? 今僕の家だから、僕の家まで来て』と言われ、空港に置いていかれていたことを知ったのです」(アイドル誌ライター)
ジャニー氏は、ハワイに別荘を構えていた。関西の子どもたちをピックアップしたことで山田と中島を忘れてしまい、とっとと帰宅したのだ。住所を知らない、土地勘もない、英語も話せない状況下で、2人はジャニー氏に電話でアテンドしてもらいながら、なんとかたどり着いた。
海外に連れて行ってもらったジュニアの中で、最長期間は山下智久だろう。小6で入所した年の夏、いきなり1カ月も滞在するスーパーVIP扱いを受けた。
「2週間はアメリカ西海岸、2週間はハワイ。最初にロサンゼルスに行って、そこからラスベガスに移動。子どもながらに、ショー三昧の日々を送らせてもらったそうです。わんぱく盛りで知識もないため、1カ月のバケーションにどんな意味があったのか、全然わからなかったのではないでしょうか」(前出・アイドル誌ライター)
SixTONESの京本大我は、ハワイのレストランに貼られた家族写真を見たジャニー氏にスカウトされて、入所している。ジュニア時代、ほかの子どもたちが海外に連れて行ってもらっていたため、ジャニー氏に「僕も連れてってください!」とおねだりすると、「オヤジに連れてってもらえよ」と却下されている。言うまでもなく父は俳優の京本政樹だ。
社長と海外へエンタメ旅行。しかし、手塩にかけて育ててもらった山下は、20年に未成年女性と飲酒して宿泊、活動自粛の末に退所するという後味の悪さを残した。
ジャニー氏は今、天国で山下のことをどう思っているだろうか。
(北村ともこ)