フリーアナウンサーの笠井信輔が3月28日に自身のインスタグラムアカウントを更新し、第94回アカデミー賞授賞式でプレゼンターを務めたコメディアンのクリス・ロックを非難した。
同セレモニーのスピーチにて、クリス・ロックは、主演男優賞にノミネートされていたウィル・スミスの妻で女優のジェイダ・ピンケット・スミスのヘアスタイルについて言及。ジェイダはかねてより脱毛症に悩まされていることを公表し、昨年からは髪型を短髪にしていた。にもかかわらず、ロックは丸刈りにした女性兵士の奮闘を描いた1997年の映画「G.I.ジェーン」を引き合いに出し、壇上で「ジェイダ、『G.I.ジェーン』の続編を楽しみにしてるぜ」と笑いながら語ったのだ。
このジョーク交じりのスピーチを受け、スミスは立腹した様子で立ち上がり、ロックのもとへと近寄り、思いっきり顔面をビンタ。会場は凍り付き、スミスは着席した後も怒りを爆発させながら「俺の妻の名前を呼ぶな!」と荒々しく口走ったのだ。
前代未聞のトラブルとなった“ビンタ事件”がSNS上で拡散されると、2019年12月より悪性リンパ腫で4カ月ほど入院していた笠井も、インスタグラムでこの騒動に言及。「今年のアカデミー賞は史上稀に見るトラブルが起きてしまっていたのです」とし、「確かに人を殴るのはよくないですが、これはクリスが悪いです」「ウィル・スミスの奥さんは、脱毛に悩んでいて、そのことをカミングアウトして丸刈りにもしています。今日も美しい姿でウィルの隣に座っていました」と暴力には反対しつつ、スミスが激怒した経緯を説明。
また、ロックの悪質なジョークについては「ありえない!」「私は抗がん剤によっていちど全て髪の毛が抜けたので脱毛の苦しみと辛さはよくわかります。私は男なのでまだいい。女性のがん体験者の皆さんはこの脱毛によって皆さん泣き崩れてしまうという話をよく聞きます」と自身の経験を踏まえながら、「クリスはわかってるはずなのに、なぜ病で苦しむ人をそうやって笑いのネタにするのかわかりません。クリスは公式謝罪をすべきです」と主張した。
「改めて、笠井は『暴力はいけません』としながら、『いけないけれども家族を守るために立ち上がったのだと理解すると思います』と綴りました。ネット上には笠井に同調する声が多く集まっており、『言っていいことと、悪いこと、それくらいわかる人間でいたいものです』『本人も家族も辛いんですよ。ネタにして笑うなんてあり得ない』『これはジョークなんかじゃない。笠井アナが言うように、女性の脱毛症を笑いのネタにするなんて、あってはならない』『ウィル・スミスは男として、夫として、立派な姿を見せたと思う』『私個人はウィルの行動は理解できるし、侮辱を始めたクリスの行動に問題があるように思う』などといった反応が大半に。暴力が許されないことは大前提ではありますが、それでもウィル・スミスの肩を持つ声が多数を占めていますね」(テレビ誌ライター)
なお、その後に発表された主演男優賞部門では、見事に栄光に輝き、3度目のノミネートにして初のオスカー俳優となったスミス。良くも悪くも、生涯にわたって記憶から消えることのないセレモニーとなったかもしれない。
(木村慎吾)