「アイドル時代は口パクもあった」とカミングアウトするタレントが珍しくなくなった。その筆頭格は、おそらく中居正広だろう。「僕は」とあくまでもソロであることを前提に、SMAP時代の口パクを告白。コンサートでは、ファンにマイクを向けているにもかかわらず、スピーカーから自分の歌声が聞こえていたなどを包み隠さず話す。歌番組で、マイクの電源がオフになっていたこともしょっちゅう。この切なくも悲しい事実を、グループ時代からトークのネタにしていた。
ところが、そんな中居でもジャニーズ事務所所属時代、歌手活動で怒りを示したことがある。96年5月にリリースされたSMAP21枚目のシングル「はだかの王様~シブトクつよく~」だ。なんと、中居はレコーディングに参加していないのだ。それを意外なことで中居は知ることになる。
「この曲は野球の中継番組『劇空間プロ野球’96』(日本テレビ系)の4月のテーマソングに起用されました。曲を聴いてSMAPっぽいと思った中居は日テレのスタッフに確認。『SMAPさんによる4月からのテーマソングです』と聞かされ、大仰天したそうです」(芸能関係者)
その時の中居の怒りのベクトルは、変な方向に向いていた。「(自分が)歌っていないのはいい。レコーディングしてないのもいい。ただ、俺が日テレで何かスポーツでしゃべるんだから、4月からSMAPがやる、それだけは教えろ」というものだった。歌唱に参加していないことをよしとするのは、音痴をキャラにした中居ならでは。デモテープさえもらえないまま、シングルCDが発売された。
「18年に放映された『なかい君の学スイッチ』(TBS系)では、口パク歴30年であることを自慢しています。『(口パクに)自信があるっていうか、俺が育ってきたところだからね、ナメんなって感じ。歴史が違うし、キャリアが違うよ。俺30年口パクやってんだよ』とパイオニアであることをアピールしています」(前出・芸能関係者)
「はだかの王様」のプロモーションビデオには、当時は幼かった中居の甥と姪が映っている。あらゆる面で希少価値が高い1枚なのだ。
(北村ともこ)