子どもの身体の変化って、ちょっとしたことでも気になりますよね。実は病気だったという可能性もゼロではないからです。
例えば、汗をかきにくい、手足に激しい痛みが出るといった場合は、先天性の病気「ファブリー病」と後天性の「特発性後天性全身性無汗症(AIGA)」という病気が疑われます。そこで、発汗障害に詳しい埼玉医科大学医学部脳神経科教授の中里良彦さんに、ファブリー病とAIGAについてお話をうかがいました。
ファブリー病とは、人体の細胞内での不要な物質の分解に必要な酵素が生まれつき足りないため、不要な物質が分解されずに全身の細胞にたまってしまい、全身にさまざまな症状がみられる先天性代謝異常症なんだそう。
幼児期や学童期に表れる症状のうち、とくに手足の激しい痛みは、ストレスや高温、疲労によって引き起こされ、痛みで運動ができなかったり不登校になったりすることもあるといわれているとか。汗をかきにくいので身体を冷やしにくいことから、お風呂に入りたがらないなどの行動をとることも。その他、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などのお腹の症状や、赤い斑点がお尻や股にみられることもあるようです。
子どもの頃に特徴的な症状があってもファブリー病とは気付かないことが多く、大人になって初めて診断されることもあるそうです。症状が表れてからファブリー病と診断されるまで、男性では平均約13.7年、女性では平均約16.3年(Mehta A et al. Eur J Clin Invest. 2004;34(3):236-242)かかるという報告があるとか。幼児期、学童期を未診断のまま過ごす患者さんが多く、早期診断が重要な課題となっているそうです。
一方、特発性後天性全身性無汗症(AIGA)は、ファブリー病と同様に発汗障害と痛みの症状が表われるそう。運動や暑さで生じる、皮膚のピリピリする痛みが特徴のようです。
ファブリー病とAIGAでは痛みを生じる部位が異なり、これが両者を見分ける重要なサインとなるのだとか。ファブリー病では手足に激しい痛み、AIGAでは汗をかくときに一時的に胸や背中などの体幹部にチクチクした痛みが表れるそうです。
もし、子どもに気になる症状があるなら、ファブリー病やAIGAを疑ってみることも大事です。万が一そうだった場合には、早期発見・早期治療に役立ちます。もちろん、他の病気である可能性もありますので、気になる症状があれば病院に行ってみてくださいね。