1人の非正規労働者の青年が、シュールな日常を綴ったYouTube動画が「じわじわ来る」と話題になっている。「絶望ライン工ch」だ。
このチャンネルを運営するのは、製造業の工場で働く40歳の独身男性。動画では青い帽子に青い作業服で登場。タイトルの通り絶望に満ちた様々なテーマで動画を投稿。その内容が「中毒性がある」と徐々に登録者数を伸ばし、動画投稿開始から2年後の現在、登録者数が22.6万人以上となっている。
例えば、昨年8月26日に投稿した「【結婚は幻】38歳ライン工・地獄の給料明細【給与明細】」では、自身の給料を公開。動画の冒頭から「私は工場の独身寮で暮らし、妻子もなく、孤独な人生です」とトーン低めの声で自虐的に自己紹介。ここで「給与明細を公開いたします」として、「支給額驚きの166,000円」「そんな私の毎日は、地獄の苦しみ」と表現。また、同年8月23日には「【年収240万】38歳ライン工の絶望弁当1週間【昼飯ルーティーン】」と題して、前出の動画同様に絶望的なトーンで弁当を紹介。ほかにも、飼っている柴犬の絶望ライン犬・愛称「絶犬」も登場。視聴者からは「初めて見たけどこの人の文章とか才能しかないよ」「絶犬ちゃんを幸せにしている絶望さん、最高」などのコメントが寄せられている。
そんな彼、実は作曲家だった過去があるのだ。
「過去の動画やTikTokで実は作曲家だったことを明かしていて、動画でも時折歌う姿を披露しています。また『絶望録音技術』というサブチャンネルも運営しており、自分で歌う動画も投稿。11月7日には『本日は私の40歳の誕生日。そして当チャンネルは3年目を迎えます』と語り『登録者20万人ってすごいですよね』と感謝の気持ちを述べ、自作と思われる『東京トワイライト』という曲を熱唱。SNSでは『まったく、なんて素敵な歌を作ってくれたんだ!』『絶望さんの[東京トワイライト]明日からこの歌を聴いてから出勤となりそうです』など反響を呼んでいます』(エンタメ誌ライター)
ちなみにこのチャンネルの自己紹介には「私のチャンネルは全て幻であり、虚構です。私を含め、動画内の人物や場所は実在しません」とある。しかしその一方で「当チャンネルは1人と1匹により運営され、給与明細は実際に支給されているものであり、私の現在の職業は製造業である」とあり、どこまでがフィクションでどこまでが現実かわからない。ジワる歌も含めて、そのミステリアスなところがウケているのかもしれない。
(窪田史朗)