長澤まさみが主演ドラマ「エルピス」(フジテレビ系)で扮する浅川恵那が、正義のために冤罪事件の真相究明に突き進むかと思いきや、ここに来て、自分の立場や会社組織のことを考え、いきなり動きが鈍くなった。路チュー事件を起こしてエースの座から転落し、深夜のお気楽番組「フライデーボンボン」のコーナーMCをしていた頃は、飲み込みたくないものを飲み込んで仕事をしていたことから拒食症に苦しめられて吐いてばかり。それが眞栄田郷敦演じる岸本拓朗と冤罪事件の真相究明に乗り出すようになったことで拒食症から解放され、美味しく食事を取ることができるようになり、これからは岸本と一緒に真犯人と思しき本城彰(永山瑛太)に関する証拠集めに奔走するかと思われていたが、大洋テレビの報道番組「NEWS8」のMCに抜擢された途端、浅川は冤罪事件の真相究明から一歩引くようになったのだ。
これまでのドラマのヒロインであれば、たとえテレビ局のメイン報道番組のMCに抜擢されても、岸本と2人で冤罪事件を追うような正義感が強く熱い女性像が描かれてきたが、「エルピス」における浅川はそうではない。岸本に懇願されて冤罪事件に足を突っ込み、冤罪事件を究明しないよう圧力をかけてきた元警察庁長官で現副総理の大門雄二(山路和弘)と近しい斎藤正一(鈴木亮平)から指輪をもらって浮かれまくる。ところがそれが浅川を冤罪事件から手を引かせるための斎藤の手段だったことを知って激しく落ち込み、報道番組のMCに就任したら冤罪事件の真相究明は岸本に丸投げ。つまり視聴者にとって浅川は「見ていてイライラする」新しいタイプのヒロインなのだ。
「ネット上には、斎藤に指輪をもらってフワフワし始めた第6話から『浅川しっかりして』『男にうつつを抜かしてる場合じゃないでしょ』といった叱責の声があがるようになり、第8話では岸本が鼻血を垂らしながら真犯人に肉薄する証言を集めているのに対して、浅川は高級マッサージ店で優雅な時間な時間を過ごしていたため、『クソ女な恵那。でもこういう目の前のことしか見えてない女ってリアル』『浅川はドラマのヒロインには珍しいほど自分がない』『浅川恵那は世間の象徴なのかも。流されやすく筋が通っていなくて曖昧』といった、辛辣ながらも、ある意味、感心しているような声があがるほどになっています。中には『フライデーボンボンにいた頃の恵那のほうが好きだから、最終回までにはあの頃の恵那に戻ってほしい』『あと2話で最終回ということは、このまますっきりしない人間らしい浅川恵那で終わるってことだろうな。モヤモヤ感が消えずにずっと残りそう』といった、最終回に言及する声まであがっています」(女性誌記者)
あと2話の間に浅川恵那は「自分」を持つようになるだろうか。