【あまちゃん】虫入りの琥珀を捨てたミズタクが醸し出す“異物感”の正体とは!

 怪しさの理由は琥珀だけではなかったようだ。

 5月22日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第43回では、琥珀職人の勉さん(塩見三省)に弟子入りした“ミズタク”こと水口琢磨(松田龍平)が、虫の入った琥珀をおもむろにゴミ箱に捨て去る場面が話題となった。

 ミズタクは「アリみたいなのが…だから捨てました」と事も無げに言い切っていたが、居合わせた登場人物のみならず、視聴者までもがその言葉に「怪しい…」と疑いの目を向けていたのである。

 第41回で初登場したミズタクは「大学で考古学を勉強していたんです」と説明。しかし、虫の入った琥珀が貴重なものであることは、琥珀に興味がある者にとっては常識中の常識だ。それをあっさり捨ててしまったことで、ミズタクに対する疑念はますます大きくなっていた。

「そのミズタクは、ヒロインのアキ(能年玲奈)に対して『アキちゃんはさあ、資格取って将来どうなりたいの?』と質問。『君自身、無限の可能性を秘めてるわけじゃんか』などと話しかけては、アキから『なんだコイツ?』と気味悪がられていました」(テレビ誌ライター)

 どうやらミズタクの狙いはアキにある様子。初登場以来、アキに話しかけたのは今回が初めてにも関わらず、アキがネットで人気を博していること、テレビに出た経験があること、そして17歳という年齢まで特定。何かしらの目的をもってアキに近づいているのは確実だ。

 初登場時には弥生(渡辺えり)から「さてはおめえスパイだな!?」と怪しまれていたミズタク。彼女に限らずスナックリアスに集う面々は、勉さんを除く誰しもが同様の疑念を抱いていたに違いない。そんな怪しさを実感させる異物感をミズタクは醸し出していたのである。

「岩手・北三陸市を舞台にする『あまちゃん』ではほとんどの登場人物が地元の方言で話しています。東京から来た女子高生のアキでさえすっかり地元になじみ、『訛りすぎる海女』として方言でしゃべるなか、標準語で話すミズタクの異物感は明らか。琥珀に封じ込められたアリという異物は貴重なものですが、ミズタクの標準語は怪しさを募らせるばかりです」(前出・テレビ誌ライター)

 実のところ「あまちゃん」ではほかにも、標準語で話す登場人物がいる。一人はアキの親友でミス北鉄を務めるユイ(橋本愛)。もう一人はアキの母親で24年前に上京し、出戻ってきた春子(小泉今日子)だ。

 そんなユイと春子には、ミズタクが醸し出す異物感と共通した要素があるという。

「それは『アイドル』です。ユイは高校を卒業したら上京し、東京でアイドルになるつもり。春子はアイドルになるため、高3の7月に家出していました。そしてミズタクは、アキが秘めるアイドルとしての素質に興味がある様子。見方を変えれば北三陸の地では、アイドルそのものが異物なのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)

 異物だからこそ、価値がある。その意味でアキは、琥珀に象徴される古い田舎の中で輝いているのかもしれない。

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