活動休止しておよそ3年となっても、嵐の人気は根強い。YouTubeチャンネル「ARASHI」は登録者数326万人を誇る。飛ぶ鳥を落とす勢いのSnow Manでさえ登録者数263万人であることを考えると、その“強さ”がわかる。そんな嵐をしのぐのは二宮和也、Hey! Say! JUMPの山田涼介、KAT-TUNの中丸雄一、Sexy Zone・菊池風磨による「ジャにのちゃんねる」。登録者数382万人で、ジャニーズ事務所の公式で最多だ。
「ジャにのちゃんねる」は、嵐が活動を終えた翌2021年4月に二宮が発起人となって誕生。スタートから21日間で登録者200万人を突破して、日本最速記録を樹立した。その後は破竹の勢いで、昨年は「24時間テレビ 愛は地球を救う」(日本テレビ系)に、同名のYouTubeユニットとしてメインパーソナリティーに就任。今春はアサヒビールのクリアアサヒのテレビCMに起用され、ジャニーズ最強連合軍となった。
このメガヒットは、二宮の“突破力”なくしてありえない。映画「硫黄島からの手紙」(06年)もそうだった。当時、嵐では松本潤が「金田一少年の事件簿」(日テレ系)や「花より男子」(TBS系)の大ヒットで頭ひとつ抜けた存在になっていた。自分の長所を見つけられずにいた二宮は、「なんでもいいから仕事をください」と事務所に直談判。教えられたオーディションが、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの─」だった。同作で「ジャニーズ初のハリウッドデビュー」という称号を手に入れた二宮のその後の活躍は、言わずもがなだ。
そんなサクセスストーリーに感化されたのが、NEWSの加藤シゲアキ。03年に9人体制で始動したNEWSだったが、加藤は後方の端が定位置で、後にメンバーは相次いで脱退・退所。ますます迷走した。そんな時にテレビで、二宮が直談判をしてハリウッドのチャンスを手に入れたことを知った。
「『この手があったか!』と、加藤は夜11時頃であったにもかかわらず、事務所関係者に何度も電話。後日、『今まで書くことだったらジャニーズの誰よりもやってきたので、いつか挑戦してみたいと思ってます』と、執筆したい熱意を伝えたのです。関係者から与えられた執筆ノルマはわずか1カ月でしたが、見事に小説を書きあげたのです」(アイドル誌ライター)
かくして、ジャニーズ初の文豪が誕生した。12年に上梓した処女作「ピンクとグレー」は赤裸々な描写も話題になり、累計発行部数40万部を突破。Hey! Say! JUMPの中島裕翔初主演で映画化された。21年に発表した「オルタネート」は、直木賞と本屋大賞の候補に挙がり、「第42回吉川英治文学」新人賞を受賞し、作家生活10周年だった昨年は、文芸本「1と0と加藤シゲアキ」の文責に加えて、編集も担当。関連するショートフィルム「渋谷と1と0」では、原作・脚本・監督・主演にチャレンジをした。
ハリウッドスターから小説家まで、さまざまなジャニーズ初。令和も後続者が現れるに違いない。
(北村ともこ)