若者の行き交う渋谷駅前。夜になると、背の高いイケメン男子たちが若い女性にひたすら声をかけている風景を見たことがある人も多いのではないだろうか。
白いシャツに黒いボトム姿の彼らの手には、チラシの束が握られている。
「無料なんで、よかったら…」
目が合うと、イケメンがニッコリと笑って近づき、チラシを渡してくるのである。
強引な客引き行為が横行したことで、迷惑防止条例に違反するとして規制が厳格化。数年前に繁華街にいたホスト風の水商売のスカウトや、キャッチセールスの男性は見かけなくなった。
そうなると、今、駅前で声掛け活動をしている彼らは何者なのか。そして「無料」という怪しいお誘いはいったい…?
その謎を解明すべく、女性記者が勇気を出して立ち止まって話を聞いてみたところ、その正体が判明したという。
「彼らはいわゆる、メンズ地下アイドル・通称『メン地下』で活動するメンバーだったんです。ライブの後、衣装のままチラシを配るメンバーもいれば、私服に着替えて宣伝活動をするメンバーもいるようです」
この日、女性記者に声をかけてくれたのは、2023年にデビューしたばかりというAmaryllis(アマリリス)というアイドルグループで活動するメンバーの神里阿乱さん。
「一見、ハーフのようなイケメンな阿乱くんに話しかけられて少し戸惑いましたが、はにかみながらチラシを渡してくれた時、正直ドキドキしてしまいました。グループのことやライブの案内などで少しの間話すことができましたが、なんと初回はライブと、その後に2ペアショットで撮影できるチェキも無料なんだそうです。あんなにイケメンとおしゃべりできて一緒に写真も撮れるなら、ライブに行ってみてもいいかなと思いました」
今年に入り、未成年への性的な行為など、様々な悪いニュースが流れてしまったメンズ地下アイドルたちだが、こうしてチラシを配って地道に活動する彼らにはエールを送りたい。
(佐藤ちひろ)