10年ぶりのステージ中止も、ファンにとってはちょっとしたアトラクションに感じられたのかもしれない。
フジテレビが主催する世界最大級のアイドル夏フェス「TIF2023」が8月4日~6日に開催。8月6日の夕方には東京・台場をゲリラ豪雨が襲い、いくつかのステージが中止を余儀なくされることとなった。
毎年、8月上旬に開催されるTIFは天気に恵まれることが多く、台風襲来で丸一日が中止になった2021年を別とすれば、豪雨による中断は実に10年ぶり。野外ステージの多いTIFにとって雨は大敵で、落雷の危険もあることからステージ中止の判断が正解だったことは間違いない。
推しグループのステージが中止になったアイドルヲタは残念がっていたものの、多くの来場者はゲリラ豪雨自体も楽しんでいたようだ。しかもフジテレビがこれまでのTIF開催から得た教訓により、迅速かつ適切な対応が取れたという。
「フジテレビ湾岸スタジオの前には、TIF名物の野外ステージ『スマイルガーデン』が設置され、アイドルたちにとってあこがれの場所となっています。ゲリラ豪雨の際は優に1000人を超えるファンがステージを観覧していましたが、フジテレビ側は即座にファンの避難を決断。本来は出演者や関係者しか通れない通路を開放し、ファンを湾岸スタジオの地下駐車場へと案内していました」(TIFを取材したアイドルライター)
2013年のゲリラ豪雨では湾岸スタジオ1階のロビーを来場者に開放するも、さほど広くないこともあって満員電車さながらの大混雑に。出演者の動線と被っていたこともあり、なかには「フジテレビはアイドルのことを何にも考えていない!」と非常事態を考慮せずに憤るマネージャーの姿も見られたものだ。
それが今回は、スタッフの迅速な誘導により、ファンは2列縦隊で地下駐車場へと移動。その様子はコミケ会場で来場者がきっちりと列を守って移動する姿にも似ていた。
ステージ再開時には走って戻ろうとするマナーの悪いファンの姿も散見されたものの、ほとんどの来場者は避難時と同じように列を作ってゆっくりとステージ客席に復帰。この迅速かつ着実な誘導はおそらく、豪雨で来場者を避難させるプロセスを事前に決めておいたからに違いない。
「2010年にスタートしたTIFはいまや全アイドル業界憧れのイベントとなっており、運営も年々と進化。各ポイントに配置されているスタッフの人数も尋常ではなく、世界最大級のアイドル夏フェスという触れ込みにふさわしい運営となっています。図らずもゲリラ豪雨で運営の見事さが証明されたのは、怪我の功名といったところでしょうか」(前出・アイドル誌ライター)
湾岸スタジオ屋上の「スカイステージ」でも何組かのステージが中止になったが、その一組である「Appare!」は見事、TIFアイドル総選挙で優勝を果たしていた。まさに「雨降って地固まる」を体現していたのかもしれない。