秋の食材に温かい鍋料理と、美味しい料理を食べる機会が増えるとつい一緒に飲んでしまいがちなのが“お酒”ですよね。食事に合わせて日本酒やワイン‥‥本当に幸せな気分にしてくれます。でも年末年始になると連日飲酒が続いてしまうなんてことも。そこで週に1~2日は“休肝日”を設けてるという人もいるのではないでしょうか。
「肝臓を気遣うのは良いのですが、実は大量の飲酒が肝臓に与えるダメージは、1日や2日の禁酒で回復するものではありません」とは、つい先日、肝臓の病気と治療法について取材したばかりだという医療ライター。続けて話す。
「肝臓がどれくらいのダメージを受けているかという指標であるγ-GTPという数値があります。これは、肝臓の細胞が壊れた時に高くなるのですが、断酒して1~2週間しないと下がることはないのです」
肝臓は生体肝移植をしても再生するという臓器ですが、それでも回復には時間がかかるもの。体のことを考えるのであれば、完全禁酒しか方法はないのでしょうか?
「1週間の合計が日本酒換算で6~7合以内に抑えられているのであれば、特に休肝日を作らなくても大丈夫です。これは、国立循環器研究センターが発表しているデータからも明らかです」(前出・医療ライター)
その根拠が、1日に30ml程度以下のアルコール、日本酒一合、ビールであれば大瓶1本程度に含まれる量を飲む人と、全く飲まない人を較べた研究だそうです。
「先ほど言ったくらいの量のお酒を飲む人は、全く飲まない人よりも循環器系の病気による死亡率も、全死亡率も低いという結果が出ているのです。つまり、心筋梗塞や脳梗塞などの予防効果があることが証明されていると言っていいのです」(前出・医療ライター)
これは、少量の飲酒で血管が拡張して血流が良くなるのと同時に、善玉コレステロール(HDL)が増えて、血管を詰まらせる血栓ができにくくなるからだそう。
“酒は百薬長”などとも言いますが、適量を守っていれば本当に体に良い効果をもたらしてくれるのですね。