すべてはここに繋がっていたのか…。そう驚く視聴者も多かったようだ。
9月4日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第133回では、2011年3月11日の様子を描写。東日本大震災により、ユイ(橋本愛)が乗る北鉄の車両がトンネル内に停車する様子が映し出された。
作中では東京でも大きく揺れた様子こそ描かれたものの、ヒロイン・アキ(能年玲奈)の地元である岩手・北三陸市の被害が直接描写されることはなかった。ただ観光協会に飾られていたジオラマは壊れてしまい、海を表現する青い部品も粉々に。その一部が陸地にも散らばっていたことで、津波が押し寄せたことを示唆していたのだった。
「本作のファンには自然と受け入れられていたジオラマが、まさかこんな形で意味を持ってくるとは。視聴者からも《こんな使い方が用意されていたなんて》《第1話の時点ですでにあったんだよな》と驚きの声が続出しています。12年後の現在ならともかく、まだ2年しか経っていない本放送当時に震災の場面をどうやって描くのかと疑問の声もありましたが、その答えはきっちりと用意されていたのです」(テレビ誌ライター)
当時の報道によると、制作側でも最初からジオラマで震災被害を表現するつもりだったわけでなく、制作の途中で生まれたアイデアだったという。震災の記憶がまだ生々しい時期ゆえに、ジオラマでいいのかという葛藤もあったようだ。
そのジオラマに限らず、第133回に出てきた「トンネル」「ミサンガ」「まめぶ」「ゆべし」「携帯電話」といったアイテムはすべて、必然性をもってこれまでの作中に登場してきた物ばかり。トンネルはユイにとって東京行きを阻む障害だったが、今回はまたもや障害でありつつも、彼女を守る存在にもなっていた。
そのなかで、まさかこの場面に泣かされるとは思わなかったとの声が続出する表現も見逃せなかったという。
ユイが乗った車両はトンネル内で停車。北鉄社員の大吉(杉本哲太)は社内無線で連絡を試みるも、北三陸駅副駅長の吉田(荒川良々)からは「津波、津波が来まーす! 大津波警報発令! 避難しまーす!」との緊急連絡が入ってきた。
しばらく経った16時半過ぎ、大吉はトンネルの外の様子を確認してくると宣言。一人、車両から降り、遠くに見える出口に向かって歩いて行った。
「不安に押しつぶされそうになるなか、大吉は『ゴーストバスターズ!』と自分の十八番を歌うことで自らを鼓舞していました。これまでさんざん、コミカルな場面で繰り返されてきた『ゴーストバスターズ』が、この時ばかりは希望の曲に。視聴者からも《この曲で泣くとは思わなかった》との声が続出していたのです」(前出・テレビ誌ライター)
カラオケでは今後しばらく「ゴーストバスターズ」を歌う朝ドラファンが続出するかもしれない。