社会学者・古市憲寿氏が11月21日、北朝鮮によるミサイル発射を知らせる「Jアラート(全国瞬時警報システム)」について「やるべきことは他にある」と苦言を呈している。
同日の22時46分頃、北朝鮮は弾道ミサイル技術を使った軍事偵察衛星を打ち上げた。Jアラートと共にこれを速報した日本政府は、同55分頃にロケットが太平洋へ通過したと伝え、その対象地域は沖縄県だった。
5月、8月に続いて、3度目の打ち上げとなった北朝鮮によるミサイル発射だが、古市氏は同日23時31分に「さも北朝鮮が沖縄を狙ったミサイルを発射したみたいな騒ぎ方をする意味も、いちいちJアラートなるものを発令する意味もわからない」と一蹴。さらに「やってることは他国だったらニュースにもならないロケットの打ち上げでしょ。本当に日本の安全保障を考えるなら、やるべきことは他にもあるだろうに」と、全国にアラートを出すほどの事態ではなかったと考えているようだ。
“騒ぎすぎ”だと語る古市氏の投稿に対し、「おっしゃる通りです」「まさに。打ち上げる前ならまだわかるけど、打ち上げてからJアラート出して何かなるのかな」と共感する声が寄せられた他、特に警戒されたエリアに住む人からは「宮古島に住んでる人もまさか落ちてくるわけないとは思ってますが、アラート鳴ったら屋内には入ります。沖縄に住んでない人に言われると気分悪い…」とする反応もあった。
「たとえ北朝鮮の目的が沖縄へのミサイル攻撃ではないにせよ、“鉄の塊”が日本の排他的経済水域の上空を通過し、領海をニアミスしたのは事実。また、北朝鮮は今回の“人工衛星打ち上げ”を事前に日本側に通告し、その時期は『11月22日午前0時から12月1日午前0時の間』としていましたが、実際の発射はそれよりも早いものでした。よって、沖縄県の玉城デニー知事も『県民に大きな不安を与えたことは大変遺憾』と表明。当初の通告よりも早く発射したことの意図も分からない以上、日本がアラートを出すのはしかるべき対応だといえます。ネットにも『ロケット自体が沖縄に当たらなくても、残骸や燃料だって十分有害で危険』『いかにも首都圏にいる人の発言って感じかな』『日本国民だって、他の常識的な国が発射したロケットならここまで騒ぎませんよ。相手が相手だから不安なんです』などと、古市氏への反論が上がっています」(テレビ誌ライター)
もしもの場合に備えてのアラートであり、“意味がない”という主張には首を傾げる人が多い。ただ、同氏が指摘するように、いくらアラートを鳴らしたところで、北朝鮮への抗議や外交的な圧力を強めなければ、根本的な解決には至らないのかもしれない。
(木村慎吾)