2023年度のM-1グランプリで芸歴最年少王者に輝いたお笑いコンビ・令和ロマンの高比良くるま。例年の同大会優勝者であれば、バラエティ番組への出演回数が急増するのがお決まりのパターンだが、高比良によるとあまりテレビへの愛着はなく、出演も控えている状態なのだという。
「テレビは基本的には出ないです。ほとんど断ってます」とのことで、M-1優勝前から届いていたオファーの中から吟味して仕事を引き受けているのだとか。確かに、彼らをそこまでテレビで見かける印象はないが、そんな高比良は、今年3月17日までに公開NONSTYLE・石田明のYouTube動画で、そうした今後の活動方針を活動方針を語ったうえで、その理由をこう語っている。
「テレビ自体は、自分たちよりも上の世代のもの」
「テレビは好きだし、テレビっ子で育ったんですけど、そこですでに完成してる」
また、若手芸人にとってのあこがれの番組だとされることが多い「有吉の壁」(日本テレビ系)や「水曜日のダウンタウン」(TBS系)を引き合いに出し、そうした番組への出演は「もともとテレビにあこがれがあった世代という正しい動機があるから挑むべきであって、ボクらの世代がそれを同じ文脈で食らいついたとしてもウソになるわけですよね」とも語ったものだ。さらに続けて、「(テレビを)オレたちは好きなだけ。『恋』と『愛』(の違い)ですよ。恋してますけど、愛してないから」と表現。“本当にテレビを愛している人たちが出ることで美しく成立する”とも主張していた。
「従来の“ガツガツした若手芸人”のイメージを一新するような、冷静な解析で自身の活動ポリシーを語った高比良には、世間から『浮かれてないし、俯瞰から見えてる』『テレビが全てじゃないしね』『英断だと思う』などと好意的に捉える見方が寄せられています。また、高比良といえば、M-1優勝直後の1月1日に生出演した『新春!爆笑ヒットパレード2024』(フジテレビ系)でも、モラルが欠けた企画に対してきちんと物申す姿勢が絶賛を集めました。番組では男女の顔を合成し、そこから産まれる赤ちゃんの顔を予測するアプリを使った『この子の父親は誰?』クイズを放送。“母”にはタレント・あのを設定し、男性側は伏せて、予測された子供の顔から“父が誰か”を当てるという企画ですが、これに高比良は生放送中に『何かもうこのコーナー、ちょっと炎上しそう。気持ち悪い』とストレートに指摘。テレビへの執着がなく、適度な距離を保っているからこその客観的なコメントとなり、ネットには『くるまくんが正しい。こういうテレビの感覚を変えていってほしい』などと讃える反応がありました」(テレビ誌ライター)
ただ、視聴者が最もテレビの世界にいてほしいと願う逸材が、そもそもテレビでの活動に対する関心が薄いというのは、何とも皮肉な話だ。
(木村慎吾)